インタビュー vol.16 遠藤久美子さん 3.26

――放送も終了間近です。
「やっと最終回を迎えられるんだなぁ、という気持ちです。撮影では日々、1日の間にいろいろな出来事を体験してきましたけど、こんなにも濃い1日を過ごすことは今後、そうないでしょうね(笑)。壮絶な人間模様の中で、壮絶な心情を体験、それも心の奥の奥から気持ちをかき出されるような感じで、こんな演技をしたのは初めてでした」
――最初の頃から、そうなると覚悟していましたか?
「ある程度は想像していたんです。この枠はきつい、とよく聞いてましたから。でも、想像と実際に体験するのでは違いますからね。撮影に入ってからは『あー大変だ』と日々、実感していました(笑)」
――これまでの久仁子の歩みを振り返っての感想を聞かせて下さい。
「純粋な気持ちで一人の男性を愛し、ともに歩み、いろいろな葛藤を抱え、別人?と思うほど壊れて、それでも一緒にいたいと願って…。私だったら、ここまで思うかな、と正直思いました。自分にない気持ちだからこそ、久仁子を演じられてすごく良かったです。この作品と出会え、良かったなと思っています」
――久仁子のどんなところが難しかったですか?
「感情で突っ走り過ぎるところです。『宗ちゃんの側にいたい、いなきゃいけない』と思い込んだら、そこからブレないですから。『一度、離れて見つめ直せばいいのに』と思いましたもん。結果、久仁子は一度壊れてしまいましたが、私には想像を超えた愛の形でした。愛の表現方法が上っ面でないところが、この枠ならではなのかな、と思ったりもしましたね」
――放送を見て、遠藤さんは表情が豊かだな、と改めて思ったんですが。
「今だから言えますけど、家出してホテルに戻ってきたところがありましたよね。あの辺りは、どんな表情でいればいいのか、すごく悩みました。と言うのも、一度壊れてしまった人間が、また頑張ります、と言って以前と同じ生活をしても、もう以前とは違いますよね。何かを背負ってしまった久仁子をどう演じればいいのか、どう表現すれはいいのか、監督にずいぶん、相談しました」
――現場に来るたび、遠藤さんが西本プロデューサーとディスカッションしている姿もよく見かけましたが。
「西本さんは脚本作りから携わっている方ですから、そのとき、そのときの久仁子の心情を一番分かっていますからね。西本さんがどういう気持ちで話を作っていったのかを知ることは、久仁子を演じる上ですごく参考になりました」
――この枠の主人公を演じるのは、今回が初ですが、いかがでしたか?
「久仁子が主人公でありますけど、誰もがすごく大変な物語だったので…。いきなり出生の秘密を聞かされてしまった譲二さんも、宗ちゃんと譲二さんとの間で揺れ動く日々を過ごした雅子さんも、今まで知らなかった“愛”という感情に目覚め、自分の望まないところに気持ちを持っていかれてしまった宗ちゃんも。仁美も相当波乱万丈な人生で、お父さん(宇田川)だっていろいろあったのに、この作品の中では一番、大人しく見えましたからね(笑)」
――おっしゃったように、久仁子自身も大変だけれど、それぞれの人の人生を見ていくポジションでもあったと思います。
「原作を読んだときから、そうなると思ってました。この作品は宗ちゃんが“台風の目”となり、その台風によって周りの人々が揺れ動く様が描かれることになるんだろうな、と。だから私は、今回は主役というポジションを演じさせていただきましたが、小田(茜)さん、内田(滋)さん、小林(高鹿)さんと4人で一つの柱になって、このドラマを撮っていきたい、と思ったんです。実際にそうなれたので、良かったです」
――ドラマ自体、視聴者の皆さんから好評をいただいてます。4人の結束力のたま物ですね。
「もちろん、台本の持ってる力もすごく大きいと思います。それに加え、役者から発するエネルギーにも強烈なパワーがあったと信じたいですね。だって、みんな眠れない中でセリフ覚えたし、もちろん体調はくずせないし、でも肌は荒れちゃうし。と、厳しい中でそのとき、そのとき持てる力を注ぎましたから。もし、キャストの熱意が伝わってくれていたら、うれしいですね」
――ところで遠藤さんは“無償の愛”を見つけられましたか?
「多分、久仁子の愛し方も“無償の愛”の一つだと思うんです。ほかの登場人物の愛し方だって、それぞれに“無償の愛”の形の一つでしょうしね。でも…。う〜ん、まだ分かりません。もう少し、探してみます」
――では残り2話、見どころを語っていただけますか。
「物語全体で言えば、それぞれの人物が生きてきた壮絶な人生にどんな結末が待っているのか。久仁子に関して言えば、宗一を愛したことで、何を手に入れ、何を失うのか。今言った“失う”という言葉の意味を考えつつ、ラストまで見てもらいたいですね
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