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インタビュー

辰巳琢郎さん(吉野晃三役)

人物紹介

――吉野は滴や良介にとって父親のような存在ですね。
 「吉野はちょっと不器用な男です。自分の感情をストレートに表すときはやたら饒舌になって。演じていても、『こいつ、よくしゃべるな』なんて思いますよ(笑)。普段は無口な分、思うことがあると勢いに任せて話すんでしょう。
 滴たちとは『子どもぐらいの年齢だろうな』というところから親しくなったのかもしれないですね。子どものいない夫婦ですし。最初のところではドラマにアクセントをつけるような存在だったけれど、しだいに滴たち夫婦のためにいろいろと行動を起こし、心情を吐露するところが出てきます。そこでは吉野の人間味が垣間見えるよう、自分なりに変化をつけて演じました」

――普段は無口だけれど、人を思う気持ちに駆られると饒舌になる、というところからして、吉野はとても人間味のある人物だと思います。
 「喫茶店で滴たちを迎え入れるときなどは基本口数も少ないから、セリフではなく、それこそ一瞬だけ相手のことを見るような表情で気持ちを表すことが多かったですね。セリフにしても短い言葉に気持ちを込める感じで。実は吉野のような人物を演じた経験ってあまりないんですよ。ヒゲスタイルというのも久しぶりです」
――ヒゲはどなたのアイデアだったんですか?
 「この役は僕の実年齢より少し高く見えたほうがいいと思って、衣装合わせのとき、僕がチラッと言ったのかな。見た目にも遊び心を入れたくて最初はメガネをかけるという案もあったんだけれど、試しにヒゲを付けてみたら意外としっくりきて。最近の付けヒゲってよく出来ているんですよ。ピタッとくっついて手鏡で見てもわからないくらい…。ただ強力に付くからはがす時、痛いんだけれど(笑)」

――これまであまり演じたことのない役を演じての感想をお聞かせください。
 「受け芝居が多かったですね。でも相手のセリフを聞く芝居っていろんな人の芝居を客観的に見るというか、観察するようなところがあって、これが意外とおもしろかった。僕がこの枠の作品に出演するのは『夏の嵐』(’89)以来になるのかな? この枠って“虚構の世界”というか、当時は大ぶりな芝居を求められることもあったけれど、今回はかなりライトな感じで演じられ、それも新鮮でしたね。アドリブなんかもときには入れつつ」
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
 「3部構成の一部ということで、撮影期間は短かったけれど、作品自体にリアリティがあっていいな、と思いました。この作品はキャストみんなが役に寄り添うような演技をしていて、それも心地良かった。女医さんの知り合いは多いんですが、水野(美紀)さんは『こういう感じの女医さんっているよな』って思わせる雰囲気がありましたよ。先日、主要キャストに原作者の谷村志穂さんも加わって、第一部のプチ打ち上げのワイン会をやったんですが、いい作品を撮った後のお酒は本当に美味しかったです」

――作品のテーマに対してはどのようにお考えですか?
 「第二部では吉野の店を誰かに継いでもらっているかもしれませんが、命自体もそういうものだと思うんです。代々受け継がれていくもので、物語の中でも色々な方が亡くなる一方、新しい命も生まれて…。人間というか生物にとって、子孫を残すということはとても大切で、それを成し遂げようとしている滴が弱っていくのは辛く悲しいことですよね。でも、吉野を始め周りのみんなが彼女のことを支えますし、例え先に何が待ち受けていようとも、彼女に対する愛情は変わらないでしょう。そういう愛情も受けつがれていく」

――辰巳さん自身は“命”とどう向き合っていますか?
 「若い頃とは考え方が全然違いますね。以前は死ぬことが本当に怖くて…。あ、もちろん、今も怖いことは怖いですよ。やりたいことも、やらなくてはいけないこともまだまだたくさんありますから。でももし病気で余命があと1年だと宣告されても死に対して恐怖をそう感じることなく、ジタバタもしないんじゃないかな。運命論じゃないけれど、人は見えない意思によって生かされていると思うんですよ。人それぞれに与えられた役目が終われば死んでいくだけのことで。そこで大切なのが、先ほども言った“受け継ぐ”ということ。自分のやっていることや大切にしているものを引き継いでくれる存在を見つけておかなければいけないと思っています」

――人は年齢と共に一つ一つ悟りながら生きていくものなんですね。
 「死は誰にでも平等に訪れるもので、僕の同年代の仲間も何人も亡くなっていますし、中には40そこそこの若さで亡くなった友人もいます。僕も彼らのことを時々思い出すから、『これでいいんだ』って思えるようになったし、僕がもし亡くなっても、家族や周りの人が時々思い出してくれればそれでいいと思ってます。そういう意味では俳優というのは記憶に残る分、『結構良い仕事だな』なんて思うわけですよ(笑)。だからこそ、最近誇れる仕事をしなくちゃいけない、という気持ちがますます強くなってます。自分がなすべきこと、できることを考えると決してお金にならないことも多いけれど、そういうことも度外視して。生きているうちは精一杯生きなくちゃいけないですからね。かつては、さっさと引退して悠々自適に過ごしたい、なんて考えたこともありましたけど、僕の性分からしてそれじゃあ満足できないでしょうね(笑)」
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