――第2シリーズが制作されるというお話を聞いた時の率直な感想を聞かせてください。
去年この作品に参加させていただいて、奈緒子という役がとても自分になじんでいるなと感じていましたし、現場のチームワークも良かったので、最初にお話を聞いた時は単純にすごくうれしかったですね。
ただその直後に、また昼ドラならではの、あのハードな撮影スケジュールが待っているのかぁ…という複雑な心境にもなりましたけど(笑)、そんな不安よりキャストやスタッフのみなさんと再会できる喜びの方が大きかったです。
――実際にクランクインしてみなさんと再会されて、いかがでしたか?
みんな口では「懐かしいね」って言っていたんですが、何となくその言葉がしっくりこなかったんですよ。約1年ぶりのはずなのに、そんなブランクを全く感じないというか。テレビでは放送されてなかったけれど、『かぐらや』という旅館が本当に実在していて、奈緒子も志乃さんも照子さんも、みんなそこにずっといたんじゃないかと思えるような不思議な感覚でした。
――前シリーズから1年後という設定ですが、奈緒子というキャラクターに何か変化はありましたか?
第1シリーズの時も「相当粘り強い人だな」とは思っていたんですけど、女将修行を1年間続けてきて、より一層しぶとさが増している気がします(笑)。あと、こうと思ったらとことんやる!みたいな、そういう一途さも今まで以上に強くなってるんじゃないかな。
世話好きでおせっかい焼きな奈緒子みたいな人って、今の時代、本当に希少価値のある存在ですよね。昔は奈緒子みたいな人がいっぱいいて社会が成り立っていたのでしょうけど、今は極力、人のことに深入りしないように適当な距離を保って人付き合いをする方が多いじゃないですか。そういう意味でも、奈緒子のような人がそばにいてくれたら周りの人たちは幸せだろうなっていう思いでいつも演じています。
――奈緒子と志乃の関係には何か変化がありましたか?
基本的には変わらないですね。奈緒子にとって志乃さんは、やっぱり頭の上がらない存在です(笑)。でもそれは、単純に厳しい志乃さんが怖いという理由ではなくて、同じ女将道を行く女性として志乃さんを尊敬しているからこそのことです。
実は私自身も、同じ女優として大先輩である野際さんを心から尊敬しているので、奈緒子の志乃さんに対する気持ちがすごくよく分かるんです。あらゆる面でかなわない絶対的な存在なので、逆らうとか反発するとかそういう気持ちは全く起きないですし、ただただ謙虚に学ばせていただくしかないという感じです。ドラマの中の奈緒子と志乃さんの関係と同じように、私にとっての野際さんも色んな意味でとても大きい存在ですね。
――では、奈緒子とご自身を比べてみて、似ているなと感じる部分はありますか?
似ているところがあるかどうかはわかりませんが、奈緒子がモットーにしている「お客様にいい思い出を作ってもらいたい。それがきっと何を失っても最後に残る財産だから」という思いはすごく共感できますね。
今年は大きな震災があり、形あるものが一瞬にして無くなるかもしれないっていう現実を目の当たりにした今の時代において、人間はやっぱり物じゃなくて人の心の中に生きるんだっていうことを多くの人たちが痛感したと思うんです。実際に私自身も1つ1つの出会いを大切にして、いい思い出を作っていきたいと今まで以上に強く思うようになりましたし、そこは奈緒子の思いと通じる部分があるのかなと思います。
――今シリーズの見どころを教えてください。
『かぐらや』にイケメンの板前さんがやって来るんですよねぇ(笑)。そのイケメン板前さんの登場によって新たなロマンスが生まれるかも?というドキドキな展開もありますし、奈緒子が失踪した宗佑さんを探しに台湾に行ったり、女将修行を続けている奈緒子に強力なライバルが出現したり、手におえない新人仲居さんがやって来たり、奈緒子のまわりには次から次に問題が起きます。
こうしてみると、奈緒子は本当に波乱万丈な女性ですよね(笑)。このドラマは、悲喜こもごもありながらも、それでもやっぱり前を向いて歩いていくのが人間なんだということを、笑いあり涙ありで描いたホームドラマです。1年ぶりにまたみなさんをおもてなしの心でお迎えしますので、平日昼の1時半からはちょっと日常を離れて『かぐらや』にお越しいただけたらと思います。よろしくお願いします。