――1年ぶりの『花嫁のれん』ですが、撮影現場の雰囲気はいかがですか?
久々にキャストやスタッフのみなさんとお会いしたら、懐かしいのと同時に、ついこの間まで撮影していたような気分になって、そんなに時間が経った感覚はありませんでしたね。ただ昼ドラというのは1週間で5話分を放送しますから撮影が相当ハードで、多い時は1日30シーン以上撮ることもあるんです。
それに加えて、衣装のほとんどが着物ですから着替えも大変で。でも、何より『花嫁のれん』は本当に素晴らしい作品だという思いがありますし、撮影現場もとてもいい雰囲気なので楽しくやらせていただいています。
――前シリーズから1年経って、志乃に何か変化はありましたか?
志乃のキャラクター自体に変化はないんですけど、やはり前作の時とは状況が違いますからね。第1シリーズの最後で、自分の息子である宗佑が突然失踪してしまったせいで、奈緒子は“花嫁のれん”をくぐることができなかったという事情があるので、以前に比べると志乃が奈緒子に対してかなり同情的になっている感じはします。ただ志乃はそういう気持ちをあまり表には出さず、奈緒子に対しては前と変わらず厳しいことを言っていますけどね。
まあでも、今の(羽田)美智子さんは実生活でもつい数ヵ月前にご結婚されたばかりでとてもお幸せなので、かなりやっつけても大丈夫かなと思いながら演じています(笑)。
――老舗旅館の大女将を演じるうえで大切にしていることは何ですか?
前シリーズの時に、(石川県の)和倉温泉の加賀屋の女将にお会いして、色々とお話を伺ったんです。その時に、立ち振る舞いやお着物なども参考にさせていただいたり、お客様の立場に立ったおもてなしの心とか、そういう“女将心得”や“仲居心得”みたいなものを教えていただいたりしました。
中でも特に印象に残っているのは、旅館で働く従業員の方々へのケアがすごく行き届いているということですね。例えば、お子さんがいる女性従業員のために寮と保育園を兼ね備えた施設を作ったり、お客様に対してだけではなく、従業員の方にも働きやすい環境を提供しようと努力していらっしゃったり。とにかく旅館全体を1つの家族みたいに思っていらっしゃるんですよね。
志乃のセリフにも「仲居さんたちが面倒をみてくれたおかげで息子を育てることができた」というような言葉がありましたが、『かぐらや』みたいな小さい旅館ならなおさら、従業員も含めて旅館全体が1つの家族という思いが強いと思うんです。それに働く従業員たちをないがしろにしていたら、きっとお客様に対してもいいサービスはできないでしょうしね。だから私も働く従業員たちへの思いも大切にしながら志乃を演じています。
――台湾ロケで、日本から台湾に進出した加賀屋さんに宿泊されたそうですね。
はい。台湾の加賀屋さんで働いていらっしゃる仲居さんたちは全員が台湾の女性の方なんですよ。私の部屋付きになった仲居さんは24歳の若い女の子だったんですけど、ふすまの開け方なんかもすごく上手だし、着物もすごくきれいに着こなしていて。
最初どの仲居さんを見ても帯の結び方があまりにきれいに揃ってるから、多分あれはつけ帯だろうと思ってたんですが、あれはつけ帯じゃなくて、着物も帯も全部自分で着つけているという話を聞いて本当に驚きました。和倉温泉の加賀屋から派遣された教育係の方は本当に大変だったと思いますよ。日本のおもてなしをイチから教えていくわけですから。
まだオープンして1年も経っていないので、時々「これ、ま・ん・じゅー」とか日本語がカタコトになることもあるんですが(笑)、言葉以外はもう日本人の仲居さんと全く変わらないし、とにかくみんな一生懸命で健気でかわいくて、日本旅館の仲居として本当に楽しそうに働いているんです。彼女たちのおもてなしの心はきっと外国のお客様にも通じると実感しましたね。
――最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。
今回は台湾ロケにも行かせていただきましたし、昼ドラで海外ロケを行うのは本当に珍しいことなので注目いただきたいですね。それから『かぐらや』の奈緒子もいろんな意味でよりパワーアップしていますし(笑)、作品全体としては前作以上に起伏のあるストーリー展開が待っていますので、ぜひ楽しみにご覧いただけたらと思います。