東京の旅行代理店で働く河野咲子(常盤貴子)は、ある日、徳島で暮らすただひとりの家族である母・龍子(富司純子)が入院したという報せを受け、慌てて母のもとへ向かった。咲子が病院を訪ねると、相変わらず気丈に振る舞う母の姿があった。しかし担当医から告げられた母の病気は末期ガンだった。ショックを受ける咲子。さらに、亡くなったら献体をすると決めていた母・龍子の強い意志に愕然とする。咲子は、ふたりきりの家族なのに、何の相談もなくすべて自分ひとりで決断してきた母に寂しさと反発を感じていた。父親がどんな人なのかさえ教えてくれない母・・・。
悲しみと無力感にいらだつ咲子に、病床の龍子は、眉山を眺めながら、静かに、ゆっくりと、咲子の父親の話を始めた。今まで決して誰にも話さなかった龍子の恋の話を。母の本当の姿を。なぜ、この徳島という土地に住むことになったのか、を。それは30年前の東京、神田の芸者として売れっ子だった龍子(常盤貴子・二役)と、咲子の父親である篠崎孝次郎(山本耕史)との出会いからはじまる―――悲しく切ない愛の物語だった。

