高井アナの空言舌語

東海テレビアナウンサー高井一が、正しい日本語の読みや、謂れをご紹介します。

2006/3/10
九十、
数え方の和漢
 今回はモノの数え方に関する面白現象です。
  数え方には「イチ・ニ・サン・シ・ゴ…」という漢語系と、「ヒ・フ・ミ・ヨ・イツ…」の和語系の二種があることは八十七回「一段落」で書きました。しかし、実際に我々が使っている数え方には和と漢が混在しています。
  人は「ヒトリ・フタリ」と和系で数え始めるのに、3になると「サンニン」と漢系が入り、その後は「ヨニン」に戻って、次は「ゴニン」と和漢が入り乱れています。
 純粋に和語だけで数える例としては、子供の年齢を見つけました。「ヒトツ・フタツ・ミッツ・ヨッツ・イツツ・ムッツ・ナナツ・ヤッツ・ココノツ・トオ」と全て和語です。しかし10歳以上は「ジュウイチ・ジュウニ…」と漢語系にかわります。それでも「ハタ・ミソ・ヨソ・イソ…」と10歳ごとに和系が登場することもあるのは面白い現象です。
  調べるうちに、4を「シ」と数えるものがとても少ないことも発見しました。時刻、年数、回数などは「イチ・ニ・サン…」と漢系中心ですが、4は和系の「ヨ」となります。「シネン(年)」「シカイ(回)」では「死」を連想するからだ、と言われています。  
  私が思いつく「シ」は、官位の四位「シイ」、十分の四の四分「シブ」など。でもこれらは日常語ではありません。
  5については「ゴ」ばかりで、和系の「イツ」で数えるものですぐ思いつくのは「5日」くらいです。五揃「イツソロエ」もありましたが、他に探すとなると……皆さんは何か思いつきますか。
 最近は「パック」「ブロック」「ステージ」のように外来助数詞もよく使うようになりました。「パック」だと「ワン・フタ・サン…」となるように、英語が混じる数え方をするものもあります。和漢の混在に続いて英語も進出、数え方の多様性も時代と共にも 変わるのです。
  数え方には本当に多様性があり、法則性を見出だすのは困難です。それだけに面白い現象が数多くあります。皆さんも自分がどんな数え方をしているか意識をしてみると、発見があるかも知れません。