01 笛木優子さん(宗形桜子役)

――桜子の“根源”の気持ちを大切に

 桜子を演じる上で大切にしているのは、純愛を大切にして、貫こうとする気持ち。「さくら心中」という作品の、そこが“根源”だと私は思っています。桜子のそんな気持ちから逸れるとまったく違うキャラクターになってしまうので、常に意識していますね。最初に台本を読んだときは、毎日観たい、と思わせる展開だったので、あっと言う間に作品の世界に引き込まれました。ただ、やっぱり激しいシーンやビックリするようなセリフがあり、「本当におもしろいけれど、これを演じるは誰? 私だよね」と自分で自分に突っ込んでしまいました (笑)。台本もとてもおもしろいですが、出来上がったものも自信を持って「とてもおもしろいです」と言えます。ぜひ1日も見逃さずご覧下さい。

「お昼のドラマの撮影はすごくタイト」というのは、何だか一般常識のようになっていますが、私はまだまだ大丈夫です。この作品はまさに“ドロドロ系”の王道のような作品ですけど、冒頭のところはドロドロというより、桜子の純粋なところもたくさん描かれているので、“トロトロ”って感じです(笑)。ただ、その先の展開は台本を読んであ然としました。第8週、9週あたりは「これが“ドロドロ”なんだ!」と(笑)。脚本を書かれている中島(丈博)先生はこれまでも「真珠夫人」や「牡丹と薔薇」など、この枠でたくさんのヒット作を手がけ、どの作品でもあっと驚くようなシーンやセリフが多く出てきた、とうかがいました。今回は私なりの桜子を、中島先生がお書きになる世界の中で表現したかったので、あえて過去の作品は観ていません。中島先生はお目にかかる前、どんな方か想像していたんですが、とてもお優しそうな方でした。こんなにも激しい作品を書かれるパワーの源はどこにあるんだろう、とビックリしています。

 私は韓国でもお仕事をさせていただいていたので、今回の撮影スケジュールがそんなに苦じゃないのかもしれません。韓国の連ドラは1時間なら1時間、CMをはさまずに放送されるんです。それも放送は週2回。1話放送ごとに視聴者の皆さんの意見を取り入れ、どんどん話が変わっていくので、台本が撮影の朝当日に出ることも当たり前でした。振り返ればすごく大変でしたが、当時の経験がベースになっているからか、今は楽しく撮影に臨めています。もしかしたら韓国で鍛えられたのは、「さくら心中」に出合うためだったのかもしれませんね(笑)。

――徳山さんは比呂人さんと重なる方 

 共演者の皆さんは初めてご一緒する方ばかりです。でもすでに「この作品をみんなで盛り上げていこう、成功させよう」という気持ちで団結できています。私ものびのびと演技をさせてもらっているので、本当に助けられています。比呂人さんを演じる徳山(秀典)さんは、役とご自身がすごく重なる部分がある方ですね。一緒に純粋なラブストーリーを作っていく方が、役にぴったりということは私としてもとてもありがたいです。「徳山さんが比呂人さんになりきっているんだから、私も桜子から離れないように」とことあるごとに思えるんです。

 第1週、第2週の桜子はまさに“純粋のかたまり”のような少女です。そんな桜子が比呂人さんと出会い、どう変わっていくのか。数々の困難が待ち受けていますが、それとどう向き合い、対処していくのか。演じていても、時にはそんな桜子を一歩引いて見ることがありますが、自分の気持ちにただただ正直に進もうとするところは理解できるし、いろいろなことを経験して、対処法を覚えていく過程。最初は訳も分からず一直線に進もうとするところからどう変化していくのかを、しっかり演じたいと思っています。あと今回は10代から物語が始まったし、アルバム用にセーラー服も着ました。私としては「まだ大丈夫かな」と密かに思っていますが、いかがでしたか(笑)。

――桜子の恋心について

 比呂人さんと出会った瞬間に恋したところは、演じてみて恋する気持ちに理由はいらないんだな、と改めて思いました。「この人、素敵だな」。人が恋に落ちるときって、それだけでいいんですよね。これが桜子にとって、本当の意味での初恋だったんじゃないでしょうか。 “本当の意味”と言ったのは、それまでの桜子にはお父様の存在が大きかったからです。桜子は、自分とお父様に血の繋がりがないことをどこかで分かっているだろうし、私は精神的な意味で桜子とお父様は“両想い”だと思っているんです。だからお父様に抱いた気持ちは初恋に近いもので、比呂人さんへの想いが、本当の初恋なんだ、と。

 これだけ一人の女性の長い人生を演じるのは初めての経験ですが、難しさを感じつつ、ワクワクする気持ちのほうが大きいですね。桜子には本当に大変な出来事、苦難が続きますが、最後は「ああ、良い人生だった」と思えるよう、悔いのないよう桜子の一生をまっとうするつもりです。

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