18 安達祐実さん(山田紅子役)6月29日(火)更新

――心が折れかけた3部
 1部から2部の切り替えはさほど難しくなかったのですが、2部から3部に変わった時は、自分でもびっくりするぐらい難しく感じました。3部になってから紅子の姿勢が変わり、受け身の態勢になったからだと思います。自分が動くというよりも、周りの人の動きをフォローしたり、周りの人の感情によって自分の感情が左右されるようになったのです。だから最初は「紅子、弱くなっちゃったな」という印象を受けました。でもそれは紅子の成長によるものであり、「誰も切り捨てない」という信条が強まったからなのですよね。

私自身は「誰も切り捨てない生き方なんて、できるわけない」と思ってしまうのですが、紅子は「でも、がんばればできるんじゃないかな」とすごく信じている。紅子は何かを信じるということに関してとても秀でていると思いますね。3部は誰かを説得しているシーンがとにかく多くて、これだけ言っているのにみんなわかってくれないし、「もう無理だ」って私の心は折れかけましたよ(笑)。
――本番に向けて、しかるべきコンディションに
紅子にとって藤堂までああなってしまったことはとても辛いのですが、ドラマ全体として見たら、壊れてからの石川さんがますますよくなったので、いいスパイスになっていると思いますね。藤堂に対する愛というのは男女としての愛情ではなく、人間としての愛情だったからこそ、ずっと揺るがなかったのではないでしょうか。それでも、紅子が大事にしているものを傷つけようとするのだったら切り捨てようとしますが、まだ紅子は心のどこかで「きっとあいつは元に戻ってくれる」と、人間として信じ続けている。たぶん捨てきれていないんですよね。

 一方真彦は、死んでしまったからこそ余計に大きな存在として残っていたのだと思います。陽平が初めて紅子の前に「真彦」として現れた時のシーンは、似たようなセリフが羅列してあり、テスト中何度もセリフ確認をしていたのですが、セリフ確認をしながらも自然と涙が溢れ出てしまいました。

気持ちの流れがうまくいっていると、自分の意思とは関係なく涙が流れたりしますね。大事な重たいシーンだから心情の切り替えが難しいわけではなく、簡単なシーンでもうまくいかないこともあります。そのシーンの本番に向けて、しかるべきコンディションにもっていくことが大事なのですが、今回のようなタイトなスケジュールの中では、その難しさを痛感しました。
――私のすべてを注いだ作品
 膨大なセリフ量で、脳みそが裂けちゃうんじゃないかと思ったぐらいですが(笑)、ひたすら読んで、ひたすら言って、リズムで覚えるようにしました。何度も言っていると、頭で考えなくても勝手に口が動くようになるので、それからは感情に集中できるようになるのです。でも後半になってくると、撮影が終わったセリフをどんどん頭から捨てていくという作業が追いつかなくなり、覚えたはずのセリフも気持ちとずれてしまって、NGを出しやすくなってしまいました。回数的には多くなくても、一回NGを出すと精神的に引きずってしまうんですよね。でもあまり顔には出さないように心がけています。いかなる時も冷静な態度で…というのが自分の理想ですね。

 このドラマは私のすべてを注いだような感じです。今「新しい何かを出して」と言われても、「もうないです」と言うぐらいの情熱をかけてきました。この撮影期間中ほとんどプライベートの時間はない状態でしたが、撮影以外の時間も完全に気持ちを引きずってしまいました。そうすると紅子が辛いと、私も辛くなってしまうという現象が起きてしまい、精神的に苦しかったですね。その辛さを救ってくれたのは、共演者の方々やスタッフでした。これだけ心を開ける現場じゃなかったらと想像すると、恐ろしくなるぐらいです。 

監督ともよく話し合いましたね。今回始まる前に「絶対妥協はしない」と決めたので、少しでも疑問を感じたら、質問をするように心がけていました。監督は「そんな細かいところまで聞かなくていいよ」と思われていたかもしれませんが…(笑)。
――子供は思い通りにならなくていい
 眞一役の根岸君をはじめ、今回出演した子役さんたちは、みんなすごいなって思います。言われたことを一回で理解できたり、仕事をしに来ているという自覚がある子たちばかりでした。根岸君は心構えがとてもいい子で、このまま真っ直ぐ成長していったら、いい役者さんになるんじゃないかなと思います。

 眞一を切り捨て、「思い通りになる子がほしい」という麗華は最低だなって思いますね(笑)。麗華は母親になるには子供すぎる。もう少し精神的に大人になっていれば、たとえ子供に否定されたとしても、「じゃあ、いらない」ということにはならないんじゃないかな。眞一が紅子の方を慕っていることが辛いのはとてもよくわかるけれど、そこをなんとかしていこうとするのが親の責任だし、愛情のはずです。子供は思い通りにならなくても愛せる存在だし、逆に思い通りになってくれなくていいよって私は思っています。
――誰よりも娘を愛している
 私自身娘を持ってみて、やはり血の繋がりって不思議なもので、大きいなって感じていますね。血が繋がっていない子を持ったことがないのでわかりませんが、無条件に絶対この子を救っていこうとか、支えていこうと思えるのは、血が繋がっているからではないかと思えます。紅子としても、本当の親子は本能的に結びつこうとしてしまうことをわかっているのでしょうね。

 「どんな時も笑ってりゃいいことがある」と眞一に言い続ける紅子ですが、私自身は娘に我慢をしたり、無理をしないでほしいと望んでいます。娘は「さみしい」という気持ちや泣きたいのを我慢してしまうところがあるので、とても心配なのです。大人になったら嫌でも我慢や無理をしなきゃいけなくなるのだから、子供のうちは人に気を遣わず、天真爛漫でいてほしいですね。

仕事と子育ての両立は正直罪悪感を伴うのですが、今私が娘のためにできる一番大事でシンプルなことは、「生かしてあげること」だと思っています。純粋に「生きていてほしい」と強く思うからこそ、私が働いて、なるべく不自由なく生活させてあげたい。仕事が忙しすぎて心配ですが、でも心のどこかで「誰よりもこの子を愛している」という気持ちがあれば、大丈夫だと思っています。今は二人で公園に行ったり、一緒にクッキーを焼いたり、そういう一つ一つのことがすごく大事だし、関係を深めている感じがしますね。
――納得できる最終回です!
 後3回の放送でついに最終回を迎えますが、これだけ複雑に展開してきた話が、とてもいい流れの中でいい形に収まったなと思っています。私自身ラストは気になっていたので、正直台本をいただいた時はほっと安心しました。見てくださっている方たちも納得できる最終回になっていると思うので、どうかお楽しみください!!

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