愛知県の大村知事のリコール運動を巡り、不正が疑われる署名が8割以上確認された問題で波紋が広がっています。自分の名前が勝手に署名に使われたとして、県内の市議会議員が相次いで怒りの声を上げています。

碧南市議会の新美議長:
「これが、提出された署名簿の写し。私たちはこのリコールの活動に全く同意してるわけじゃないです。全く知らないところで署名だけ出されたということは、非常に不思議な話といいますかね」

 憤りを隠せない様子でこう話すのは、大村知事の地元・碧南市の新美交陽市議会議長。新美議長をはじめ碧南市議3人の名前が、勝手に大村知事のリコールを求める署名簿に書かれてあったといいます。

新美議長:
「大村知事が元々碧南市出身ということで、昔から非常に知事を衆議院時代から応援している。書かれた私も含めて3人がですね、皆そういう意思を全く持っていないのに勝手に名前だけ書かれている。そういったことについては、非常に心外だなと」

 高須クリニックの高須克弥院長が主導し、河村名古屋市長も支援した大村知事のリコール運動。

 高須院長側は43万5334人分の署名を提出。しかし、県の選挙管理員会は全体の83%が無効で、そのうちおよそ90%は同一の筆跡の疑いがあるとの調査結果を公表していました。

 署名に勝手に名前を使われたと訴える碧南市議会の新美議長。去年12月、選挙管理委員会に署名簿の情報開示を請求したところ、新美議長ら3人の名前を確認。そのうち1人は署名を集める「受任者」として記載されていました。

 3人の市議は5日、愛知県警碧南署に地方自治法違反などの疑いで告発状を提出しました。

 署名簿に勝手に名前を使われたと訴えるのはこのほかにも…。

弥富市議の大原市議(3日):
「民主主義の中でなぜこのようなことがあるのか、被害を受けていると思って、告訴させてもらいました」

 3日、弥富市の市議5人も名古屋地検に被疑者不詳で刑事告訴。さらにこのほかにも告訴を検討する県議会議員もいて、リコール署名を巡る問題は波紋が拡がっています。

 これに対し、リコール運動を主導した高須院長は4日…。

高須クリニックの高須院長(4日午後):
「僕は(不正を)指示したことがあるかどうかと言ったら、全くありません。黙認したこともありません。清廉潔白、何も恥ずかしい事はありません」

 自らや、リコール運動を進めた団体としての関与を明確に否定…。その上で高須院長は「リコール活動を妨害をしようとした何者かにより実行されたのではないか」と主張しました。

高須院長:
「誰か書かなきゃ(こんなに)あるわけはありません。(Q.リコール運動妨害のために不正署名を紛れ込ませた人がいる?)はい」

 一方、大村知事は…。

大村愛知県知事:
「名古屋市長の河村氏も含めてですね、河村氏も高須氏も関わった方でありますから、事実関係を明らかにすべくご努力をいただきたい」

 不正が疑われる大量の署名…。何者かが不正に署名したのでしょうか。愛知県の選挙管理委員会も、刑事告発を含め検討しています。