覚せい剤を使用した罪に問われた男性被告の判決で、名古屋地裁は19日、警察官が被告の飲み物に覚せい剤を混入させた疑いが排除できないなどとして、無罪を言い渡しました。

 判決によりますと、男性被告は2019年、愛知県東海市で覚せい剤使用の疑いで逮捕されたあと、取り調べ中に警察官からコップに入ったお茶や水を提供され、20~30杯飲みました。

 その後、尿から覚せい剤の成分が検出されましたが、これまでの裁判で「使った覚えはない。採尿前に飲んだお茶がとても苦かった」と起訴内容を否認し、弁護側も無罪を主張していました。

 19日の判決で、名古屋地裁の板津正道裁判長は「採尿前の飲料の提供で異物の混入を防ぐ手だてが十分ではなかった」と指摘した上で「警察官が覚せい剤を混入させた疑いを排除できない」として無罪を言い渡しました。

 また板津裁判長は、勾留中の被告に警察官が現金を渡していたことも認定し「不当極まりない」と批判しました。

 判決について愛知県警は「判決文を精査しておらずコメントは差し控える」としています。