愛知県知事に対するリコール運動をめぐる署名偽造事件。今回の初公判では、検察側の冒頭陳述で新たな情報が出てきました。

 リコールに必要な署名の数は86万筆あまりです。しかし、署名の提出期限まで1カ月を切った時点で、集まっていたのはわずか6073筆だったということです。こうした事態を受け、検察側は「偽造を企てた」と指摘しました。

 そして、偽造に関わった金の流れも明らかになってきました。

 田中被告がリコール団体の口座から現金を引き出し、発覚を免れるため愛知から離れた東京の名簿業者から偽造に使われた有権者の名簿をおよそ530万で購入したと指摘しました。

 関係者によりますと、検察側はこの名簿業者にも話を聞き、裏付けを進めたほか、田中被告と団体スタッフのメールなどを解析し、偽造に関わる客観的な証拠を積み上げてきました。

 そのため、弁護側がどのような主張をしてきても、検察側は有罪まで持っていけるとの自信が感じられます。

 一方で弁護側は、証拠数が膨大のため、24日の時点では認否を留保しました。

 田中被告は24日の裁判で、自ら背景を語ることはありませんでしたが、田中被告は逮捕前、東海テレビの取材に対し「佐賀のアルバイト動員は準備行為で、一軒一軒訪ねて書いてもらう予定だった」と話していました。

 つまり、アルバイトを発注したことを認めるけれども、「本人に署名を書いてもらうつもりだった」と違法ではないと主張していました。

検察「すぐ廃棄すればバレないなどと持ち掛けた」リコール署名偽造事件初公判 “カンモク”事務局長の発言は

 今後の裁判では「偽造の認識があったかどうか」が争点になる可能性があります。