本作の撮影が始まったのは、5月のGWまっ最中。青空が広がる晴天の中、都内・某団地のロケにて、佐野史郎さん演じる主人公・寺内誠司が、山谷初男さん演じる父親の寺内仁をおぶって隣人の足立梨花さん演じる桜井江理子に挨拶をするというシーンから始まりました。

　「よろしくお願いいたします」と軽く会釈をして現場に入った佐野さんは、早速団地の玄関前からリハーサルのため何度も山谷さんをおんぶします。「大丈夫？」と山谷さん。「これは何度もやると腰に来ますね」と周囲を笑わせる佐野さんですが、確かに大変です。そこで山谷さんが木箱の上に乗ってから佐野さんの背中に乗り、少しでも腰の負担を軽減させる工夫などで撮影は進みました。その佐野さんの姿を見て「もう少し腰を低く、おじいちゃんっぽくできませんか？　ひいおじいちゃん(仁)とおじいちゃん(誠司)の設定なので」と、監督。それを受けて佐野さんは、背中を少し曲げたり、腰を低くしたりとイメージをされていました。

　でも、確かに佐野さんお若いんです。63歳でドラマ初主演、初のおじいちゃん役を演じている今回の佐野さんですが、普段のファッションセンスや、取材などで見せる話題の豊富さ、周囲を引き込む話ぶりなど、エイジレスなバイタリティーとクレバーさは素直に尊敬。そして、余談ですが姿勢もとてもいいんです。

　実は佐野さんよりもひと足早く、朝からスチールの撮影していたのは足立さん。江理子の夫・桜井高志役の迫田孝也さん、息子・桜井颯人役の前田虎徹さんと一緒に家族で公園で遊ぶ姿やゴミを出す姿など、今後、ストーリーに関連する写真を撮っていました。この日だけで、何パターンか衣装を変えた足立さんでしたが、いずれも無地のシャツやカットソー、そしてパンツ姿といたってシンプルなものばかり。それでも若さと可愛らしさがこの団地には眩しすぎる江理子さん。多少のやっかみもあるのか!? 団地に住んでいる年上の奥様方に用事をいろいろと押し付けられてしまいますが、ノーと言えない性格の彼女なのでした。

　佐野さん、山谷さん、足立さんのシーンが終わると、近くの公園でスタンバイしていた寺内の孫・寺内穂乃花役の渡邊詩さんの登場です。「よろしくお願いいたします」と可愛らしく挨拶した詩さん。ぴったりと佐野さんに寄り添う姿は、最初からおじいちゃんと孫の雰囲気をかもし出しています。ちなみに実生活では娘さんはいらっしゃるそうですが、お孫さんはいない佐野さん、詩さんと話をするにつれて初めて“孫っていいな”という感情が芽生えたそうです。寺内が団地の住人たちに呼びかけた朝のゴミ拾いに、寺内と穂之花以外、唯一参加した江理子を前に嬉しそうに微笑む寺内がすでに不気味な雰囲気で……。寺内の歩き方や目線など、すでに佐野さんいろいろとプランは練っている様子です。

　その後、江理子の息子・颯人役の前田虎徹さんも「これからよろしくお願いいたします!!」と大きな声で挨拶し、周囲をほっこりさせて撮影に入りました。さらに午後からは第一話に与田庄一役で出演する喜劇界のレジェンド・小松政夫さんも合流し、夕方まで撮影は進んでいったのでした。

　そして別日には、金田哲平役の山崎樹範さんもクランクイン。だらっとしたジャージにグレーのスエット、ビーサンで集会所に現れた、現在無職の金田の姿は、期待通りの風貌で山崎さん、さすがです!!(褒めています)。そんな山崎さんと佐野さんは劇団出身。空き時間にはおふたりで、舞台の話や劇団の話をされていました。

　かつての夢のニュータウン“団地”が惨劇の舞台。過去の幻想を追い求める狂気に踊らされた男の情熱と悲哀を描いた心理サスペンスは、怪奇俳優のレジェンド・佐野史郎さんが土曜の夜に新たな狂気を見せてくれます！ オトナの土ドラ『限界団地』ぜひ、ご期待ください!!