インタビュー

――久しぶりに「花嫁のれん」の現場に帰ってきて、いかがでした?
 「撮影はやっぱり大変ですね(笑)。半端じゃない分量を撮りますから、まさに体力勝負。パート3が決まったと聞いたとき、まっさきに『またきついスケジュールになるんだろうな』と思いました(笑)。"老人半日仕事"って言葉があって、今回私は比較的、楽なスケジュールを組んでもらっていますが、その分(羽田)美智子さんにしわ寄せが行ってしまい、申し訳なく思っています。現場自体は本当に楽しいですよ。スタッフ、キャストのみんなと仲が良いので」
――志乃は金沢弁を話しますが、イントネーションなどすぐに思い出しましたか?
 「それはないですね。事前にアクセントなどをしっかり確認しないと言えません。セリフ覚えって人それぞれでしょうが、私はまず方言見本のCDを聴きながらセリフにマークをつけます。この作品はセリフがとにかく多くて(笑)。一週間分のセリフにマークするだけでゆうに3.4時間ぐらいかかるんですよ。今回はホームドラマの要素がより強くなり、母家のシーンが増えました。母家が多くなるということは、出番が多くなるということ。 旅館だと仲居のみんなだったり、板場だったり、お客様だったり。志乃がいなくても成立する場面がありますが、母屋だとほぼ出ずっぱりですから」

――金沢弁はご苦労されているんですね。
 「でも、そもそも『金沢弁でいきたい』と言い出したのは私ですから(笑)。金沢弁に助けられている部分もあるんですよ。奈緒子さんにきついことを言う場面で、標準語だとあまりに強く聞こえてしまう可能性があっても金沢弁だとそれを中和してくれると言うか。『日本語だと言えないけれど、英語なら言えちゃう』みたいな感覚です(笑)。金沢にロケに行ったとき、いいな~と思ったことがあって、ご年配の方だけでなくお若い皆さんも意外と地元の言葉を使われていたんです。アクセントというかニュアンスが金沢弁でした。全国どこに行っても同じアクセントでしゃべっていたら淋しいですよ。その土地ならではのアクセントや歴史ある土地の言葉を皆さん大切にして欲しいですね。今回、金沢で"ふったふた"と言う言葉を知りました。この言葉はもうご年配の方しか使ってないようですが、"ふわふわ"みたいな意味なんですって。ドラマの中で使えたらいいな、と思っています」

――今回、志乃にまさかの離婚騒動が持ち上がりましたが。
 「話を聞いて驚きましたし、『志乃はすごいな』と思いました(笑)。結婚して何十年も経っているのに未だに辰夫さんのことを愛しているんですよね。だから夫の初恋の人が出現したとき激しく嫉妬しちゃう。普通、こんなに長く連れ添った夫婦ならケンカする気力も元気もないですよ。辰夫さんとやり合う場面は『こんなにも怒るものかしら』と思いつつ、どこか子供同士の言い合いみたいで微笑ましかったですね」
――奈緒子とのバトルもこれまで以上に激しくなるとか。
 「ドラマの冒頭では嫁と仲良さそうでしたが、奈緒子さんが金沢のことを"小京都"と呼んで、志乃の逆鱗に触れてしまいましたね(笑)。ただ、奈緒子さんも花嫁のれんをくぐってから数年経ち、かなり強くたくましくなっているんですよ。志乃もそんな嫁にタジタジになって照子さんに助けを求めずにいられなくなります。二人で立ち向かわないと奈緒子さんに敵わない。奈緒子さんは演じているご本人同様おっちょこちょいだから(笑)、そんなとき志乃はすかさずつけ込むんですけどね。今回、奈緒子さんと息子の宗佑のことでやり合ったとき、『大学で宗佑と知り合ったときから、今のダメな感じはありました』と言われてしまいます。志乃にすれば息子がフラフラしているのはすべて嫁の責任と言いたかったのですが、思わず言い負かされてしまいます。私個人としては『そんな息子に惚れたのはあんたやないかいね』と言いたかったんですけど。消化不良で悔しいです(笑)」

――野際さんと言えば、かつて嫁姑バトルドラマで大人気を博しただけに、今回も楽しみにしています。
 「20年も前の作品ですし、あの頃の体力はもうないですから。当時の50代の姑と20代の嫁のバトルと、70代の姑と40代の嫁のバトルは違うと言えば違うでしょうし...。でも根本は一緒かしら(笑)」
――第3シリーズの見どころをお聞かせください。
 「シリーズを重ねた分、役者のアンサンブルがより良くなっているのは確かなことです。一日一日、家族従業員を含め、"家族感"というものがより強まってますから。志乃は奈緒子さんを心の底では信頼し、家族のことも愛しています。時々描かれる深い情愛の念というものはとても良いと思います。物語としては孫の瑠璃子も何やら問題を抱えているらしく、嫁姑問題がさまざまな形で描かれるようです。嫁姑それぞれの立場でご覧になり、志乃と奈緒子さん、思い入れのある方をぜひ応援してください。話の展開も起伏に富み、ほっとするところもありますが、その"ほっ"が次に繋がる何かを感じさせるものです(笑)。パート1のとき、志乃にすればこの物語はサスペンスだとお話ししました。と言うのも、東京から得体の知れない "えんじょもん"の嫁が現れて、穏やかだった生活を一変させた訳ですから。今回は嫁姑がやりあう場面にスリルがあふれています。『こんなに激しく対立しているけれど、この先はどうなるの!?』という展開を存分にお楽しみください」

――家族のよう、という意味では2人の孫を演じる草川拓弥さんも本当に大人になったし、木村真那月さんも大きくなりましたね。
 「この作品で一番ビックリしているのが、2人の成長かもしれません。翔太(草川さん)は19歳になり、最初の頃より背も伸びましたし、幸(木村さん)も中学生ですから。この前、『中間試験が』なんて話しているのを聞き、驚いてしまいました(笑)」
――ところでこの作品を応援してくださっている皆さんの中には野際さんの着物の着こなしを楽しみにしてくださっている方もたくさんいます。
 「加賀友禅を始め、高級で美しい着物を着させていただいております。これまで同じ着こなしは一回もしていないんじゃないかしら。私の持っている小物もときには使っているんですよ」

――改めて「花嫁のれん」の魅力とはどんなところかお聞かせ願えますか。
 「この作品の根底に流れているのは『良き思い出は心の宝』という志乃が大切にしている思いです。この言葉に込められた思いがブレずに描かれているところ、私は気に入っています。『かぐらや』って画面を通して見ると、なかなか素敵な旅館で『本当にあったら泊まってみたい』と思わせる良さがあります。普段、なかなか行く機会はないかもしれませんが高級老舗旅館だからこその"おもてなし"の真髄を、ドラマを通して味わっていただきたいですね」
――"おもてなし"は今、注目のキーワードですね。
 「ここまで"おもてなし"に注目が集まるとは思っていませんでしたよね。私たちはおじぎばかりしてきましたが、"あの方"は手つきが良かったのかしら(笑)。旅館やホテルに泊まると、宿泊する人が何を求めているのか瞬時に見抜く仲居さんや従業員の方が時々いるんですよ。欲しいものがあるとき、何も言わなくても来てくださったり、『一人になりたいな』と思った途端、すっといなくなってくれたり。そのときどき求めているものに良い塩梅で応えてくれる方がいますが、それこそがおもてなしの極意だと思うし、人を気遣う上でも大切にすべきことではないでしょうか」

インタビュー一覧

ページ先頭へ戻る