インタビュー

――今回、中盤で良樹の新たな面を演じられましたが。
 「この現場に来るのも本当に久しぶりでしたが、(脚本家の)小松江里子さんに実は前々から第3シリーズがあることを聞いていて、『中盤、瑠璃子と良樹の若夫婦で嫁姑問題を描くつもりだからよろしくね』と言われていたんです。僕も『楽しみにしています』と返事をしましたが、まさかこんなことになるとは(笑)」
――良樹はかなり優柔不断でしたね(笑)。
 「視聴者の方にすれば、結婚前のスマートな良樹より親近感を持ってもらえたんじゃないのかな、と思っています。良樹を通し、嫁姑問題を抱えている旦那さん側の悩みとか努力とかが垣間見られたのではないでしょうか(笑)」
――久しぶりの登場で、これまで以上に厚みを増して良樹を演じるのはいかがでしたか?
 「最初にリハーサルに参加して、羽田さんと野際さんとご一緒したとき、自分の中にあった良樹というものを呼び起こしてもらえたんですよ。どんな風に自分が良樹という役にアプローチしていたのか。一気に思い出せました。大人になっておばあちゃんの家に行くと、子供の頃、遊びに行ったときの記憶がよみがえることってありますよね。それに近い感覚というか。お二人の芝居を間近で見ていて、演技ではありますが、演技を超えたものがそこにありました。『あー、"花嫁のれん"だ』とつくづく思って、その世界の中で自分がどんな風に良樹としていればいいのか、感覚として掴めたんです」

――羽田さんと野際さんは第1シリーズ、第2シリーズのときと変わっていませんでしたか?
 「"雰囲気"がもう『かぐらや』そのもの。当たり前のことですが、この作品の世界観というものをお二人が構築していることを改めて実感しました。羽田さんや野際さんの周りにほかのキャストの皆さんが集まって、共鳴し合い『花嫁のれん』の世界を作っていっているのだな、と思いました」
――仲居役の皆さんにお話しをうかがったとき、役を離れてもそれぞれの人物がどこかで生きているような気がする、とおっしゃってました。
 「特にこの作品はホームドラマですからね。ホームドラマって、キャストスタッフ含め皆が"大家族"になるんです。この現場にいると親せきの多い一家に遊びに来た気持ちになりますよ(笑)」

――その中で良樹はどんな存在だと思いますか?
 「まあ新参者ですよね。この作品では数少ない、出身が金沢じゃない人物だし、他のキャラクターとは違う感覚、視点で物語を見ていると思います。だからこそ、『かぐらや』のことも奥さんの実家の良さもより分かるんじゃないでしょうか」
――奥さんとお母さんの間で板挟みになった感想は?
 「良樹と同年代の僕自身が、もうきれいごとで生きる世代は卒業なんだな、と思いました(笑)。ある程度、酸いも甘いも噛み分けて、奥さんや彼女たちから女性の本当の怖さに気づく世代なんだな、と(笑)」

――良樹は奥さんと母親の間で、右往左往するばかりでした(笑)。
 「今回はコミカルに良樹の臆病なところ、情けないところ、ダサいところ、格好悪いところを目一杯演じさせてもらえました。大学で美術を教えるニューヨーク帰りの青年、と一見スマートな設定ですが、実は奥さんもお母さんも怖くて、何も手が打てない。何が染色だよ、何がニューヨークだよ、ですよね(笑)」
――内田さんは本作と同じく小松さんが脚本を担当された朝のドラマでも嫁姑問題に巻き込まれる夫を演じていましたよね。
 「今回は朝ドラの頃より、嫁姑問題をどうすればいいのか、夫はどういう視点で見ればいいのか、ということを知りたいと思いました。僕自身、20代の頃より女性の偉大さも怖さも分かっているつもりですが、結婚はしていなくても嫁姑問題ってリアリティがあるので。女性のほうが男なんかよりたくましいし、頼もしいのは分かっているので、敵にまわしちゃいけないのは知っています(笑)。20代の頃は格好つけて言えませんでしたけど、男は女性のことを分かろうとしちゃいけないんですよ。そんなこと出来っこない。今回は、良樹がそのことに気づく過程を僕なりに演じたつもりです」

――良樹のような立場になったら、誰を味方にしたらいいんでしょうか?
 「やっぱり奥さんじゃないですか。良樹なら瑠璃ちゃん。奥さんが家庭の事情をすべて受け入れてくれれば、母親の機嫌を取るのも協力してくれるだろうし」
――実際、なかなか難しいようですよ(笑)。
 「息子としては母親には優しくあるべきだと思います。ただ結婚したら、母親を大事にするのも奥さんのために、家庭がうまくいくために、という気持ちを持たなくちゃいけないと思います。奥さんに夫こそ自分の一番の味方、と思ってもらえないとあとあと不都合が生じるのではないでしょうか(笑)」
――内田さんご自身はまだ独身ですが、こうして嫁姑問題を疑似体験しての感想は?
 「良いことではないでしょうね(笑)。でも小松さんの書く嫁姑問題ほど大変な家庭ってそうそうないんじゃないですか?」

――"イケてない良樹"を演じての感想は?
 「うれしかったです。小松さんがおっしゃっていたんです。格好悪さや無様さを演じられる俳優のほうが素敵だ、と。格好悪いなら、それをとことん演じられるほうがかえって格好良いと。僕もそういう演技が出来る俳優になっていきたいと思っているので」
――年齢を重ね、また「花嫁のれん」のような作品に出演するとご自身の恋愛観や結婚観も変わりますか?
 「周りがどんどん結婚して、子どももいる世代ですからね。自分がいつそうなってもおかしくないんだな、と思ってます。10代の頃からの友人なんかは、男同士で会うと昔と何も変わらないですよ。でも家族や子供のことを話す時の顔は別人で尊敬しています。無条件で子供が可愛いという奴もいれば、淡泊に『結婚して子供ができるっていいことだよ』と話す奴もいますが、淡々として言葉の中に深い愛情があるんですよ。僕も本当に、いつそうなってもいいんですけど...」

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