インタビュー

――お昼のドラマに出演するのは初めてだそうですね。
 「そうです。それもシリーズ物ですので、撮影が始まった当初はガチガチに緊張していました。すっかり出来上がっているチームの中で、私が場の雰囲気を壊さないか、邪魔をしていないか、うまく馴染めるだろうか、と考えるばかりで。でも"入っておいでよ"という雰囲気を皆さんが作ってくださり、本当にありがたかったです」
――咲子は後半でいろんな面が描かれましたが。
 「最初からそういう展開になるキャラクターだと聞いていましたが、どうなるんだろう? という不安のほうが大きかったです」
――ドラマを見ていても、咲子は本当に良くできた方だな、と思いました。
 「そうなんですよ! だからとっても難しかったです。素直でまっすぐで純粋なので、台本を読んでいてもドキドキしちゃいました。それにあまりに良い子なので『私の中に咲子に通じる部分があります』とは言い難くて(笑)。『こんなとき、咲子はどんな表情をするんだろう』と考えるばかりでした」

――序盤は咲子をどんな風に捉えていたんですか?
 「いただいた資料や台本を読み、『とにかく笑顔でいよう』と思ました。いつもニコニコしていたんですが、監督に『一回、その笑顔を封印して』と言われたんです。それでどうやって咲子を演じればいいのか不安になったんですが、いざ笑うことを止めて演技をすると、咲子のいろんな表情や気持ちを表現できることに気づいて。プロデューサーさんを始め、スタッフの皆さんからも『今の咲子、良かったよ』と声をかけていただき、『私は咲子をうわべだけでしか捉えていなかったんだな』と教えられました」
――実は元不良でした、みたいな"裏設定"もありませんでしたからね(笑)。
 「本当にこの作品に出てくる人たちって良い人ばかりなんですよ。大阪からいらした団体の主婦の皆さんだって、咲子に辛く当たるから一見"悪役"に見えるかもしれませんが、年に1度『かぐらや』に来ることを楽しみに日々の暮らしを頑張っている人たちばかりでしたから。こういう作品に出会うことや咲子のような役を演じることもそうそうないでしょうし、『花嫁のれん』に出演できたのは私にとって貴重な機会でした」

――咲子を演じていて、特に難しかったのは?
 「えー、どこでしょう? 一杯あり過ぎて...。全部と言えば全部ですが、やっぱり『どんまい!』と言うところでしょうか(笑)。こういうセリフを言うのが恥ずかしい、ではなく、ためらわなく言えて、それが相手の励ましになるなんて、一言のセリフに込められたものが実は大きいな、と。言い忘れた後、戻って俊平さんに言ったこともあって、『咲子、すごい!』と(笑)」
――では咲子の魅力とは?
 「お会いする一人ひとりに対して、それはお客さまだけでなくどなたにも丁寧に接してますよね。相手の立場で見たら、とても気持ちの良い女性だと思います。それでいて、どんな立場の人にも臆さない強さがあり、自分の信念に対しても"ブレ"がないんですよね。失敗して落ち込んでも周りを見ることが出来て...。こうして話していても、良く出来た人だな、とつくづく思います(笑)」

――実際、咲子のような人って...。
 「私はいると思います。いて欲しいです。自分の仕事に対しても、奈緒子さんのように尊敬する人に対して、それに恋愛に対しても全力でまっすぐぶつかっていく人が」
――咲子は俊平のどんなところに惹かれたと思いますか?
 「例えば『ここで好きになりました』みたいなハッキリとした瞬間っていのはなくて、いろんなことの積み重ねだと思います。とは言っても、スイッチが入った瞬間、心惹かれた出来事がいくつもあったと思うので、それが視聴者の皆さんに伝わるよう演じられていたらいいな、と思ってます」

――田中さんは俊平のような男性はいかがですか? また田中さん自身の恋愛観は?
 「俊平さんは可愛らしいですよね(笑)。私も咲子同様、最初は『嫌な人だな~』なんて思ってましたが。私の恋愛観ですか? ...う~ん。最近、どういうタイプの男性が好きなのか? どんな恋愛がしたいのか? そういうものがビジュアルとして浮かばなくて。仲居役の皆さんとも『どういう人がタイプ?』とか『このドラマの中なら誰が良い?』なんてまさに"女子会トーク"をよくしてたんですけど、私は言うことがどうも年相応じゃないらしくて。『若いんだから、もっとキラキラしなきゃ!』とダメ出しされてしまいました(笑)」
――お話しをうかがっていても、とても落ち着いていて、丁寧に答えて下さるので、田中さんも咲子のように人を引っ張るのが得意なのかな、との印象を受けます。
 「本当ですか!? もし落ち着いているのなら、それは咲子を演じているから、影響を受けているのだと思います。私だってもし恋人がいたら甘えたいですよ(笑)。咲子も内心では『もっと俊平さんを頼りたいのに』と思っているんじゃないでしょうか」

――咲子はこれまでに演じたことのない役とのことでしたが、今後、女優としてどんな風に歩んでいきたいですか?
 「羽田さんや野際さんが演じていらっしゃるのを間近で見るチャンスをいただけて思ったのは、お二人ともご自分というものをさらけ出して、役と向き合っている気がしたんです。私もいろんなものを"全開"にして一つひとつの作品や役に取り組まなくてはいけない、とこの作品に出て改めて思いました。もう一つ、これはお伝えしてないことですが、今回初めて野際さんにお会いして、何故だか泣いてしまいそうになったんです。存在感に圧倒されてしまって。私も演技が大好きですが、野際さんのように長く続け、女優として第一線にいられるだろうか、と考えてしまいました。『花嫁のれん』の現場ではいろいろ思うことも感じることもありましたし、演技の課題も、またその乗り越え方もほんの少しだけ見つけられた気がします。人には真面目過ぎると言われてしまいますが、もっと貪欲に演技を学んでいきたいですね。私、本当におもしろみがなくて、真面目っていうか大真面目で融通が利かないので、そこはもう少しどうにかしなくちゃいけない、とは思っているんですけど(笑)」

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