インタビュー

――鈴之助さんは俊平のような"ボンボン"役を演じるのは初めてだとか。
 「これまでは青春ドラマでの不良役や、どこか尖がった役での出演が多かったんです。 ただ、今回のようなホームドラマというのは興味があったし、いつかは挑戦したかったです。実際出演が決まり、台本を読んだらこれまでの作品とは明らかにセリフの言い回しが違って(笑)。『これはよりしっかり演じないといけないな』と思いました」
――俊平の"ボンボン気質"というかいくつになっても甘えん坊な部分は理解できましたか?
 「増岡さんの前では、まるでお母さんに甘えるような演技をしたんです。そのほうが面白んじゃないか、と思って。僕は演じる役に自分の持っているものがどうしたって投影されると思っていますが、自分の中にもあるんじゃないですか、甘えん坊な面が(笑)」
――台本を読んでの感想は?
 「主演のお二人のセリフの分量に圧倒されました。撮影現場ではまずNGを出さないので、どうしたらあんな演技が出来るのだろか、と。いつかは僕も羽田さんや野際さんのように演技が出来たらいいな、と思いました。台本は俊平が特にそうだったんですけど、話が進むにつれて成長していく中で、微妙に語尾や言葉の使い方が変化していったんです。その繊細な感じを丁寧に演じたいとも思いました」

――撮影は最初から順番に撮っていくわけではありません。その中で俊平の成長を演じるのは大変だったのでは?
 「実は最初に登場したところで、僕は俊平をかなり高いテンションで演じたんです。そこから話の展開の中で『もしかして、最初の俊平だとつじつまが合わないかも』と焦ったこともありました。どう違和感なく登場した頃の俊平からの変化を表現すればいいのか。そこは自分なりに考えたところですね」
――俊平がどんどん変わっていく過程を演じての感想は?
 「最初は鼻もちならない奴でしたが、東京のホテルで落ちこぼれて、今度こそは、と意気込んでいた部分もあったと思います。登場したところでは増岡さんとの"二人で一つ"みたいな感じに見えるよう意識しました。結構自由に、それこそやり過ぎじゃないか? と思えるような演技でしたが、ただの大げさな演技に終始したら、役が破たんしてしまうと思ったんです。だから俊平の内面、気持ちというものを常に意識していました。俊平には"東京の一流ホテルでの仕事経験もあるイケメン"という設定があったんですけど、"イケメン"なんて演じるの初めてだったんです(笑)。台本を読み進めると、俊平のダメなところ、クスッと笑える可愛らしいところ、誠実なところがどんどん出てきたので、"イケメンくくり"にするのでなく、もっと自由に演じていいかなと思い、監督がOKしてくださる範囲で表情豊かに演じさせてもらいました。『ウルトラマン』に"ジャミラ"っていう可愛い怪獣が出てきたんですけど、僕の中ではそのイメージで(笑)」

――中西良太さん演じる増岡とのコンビはいかがでしたか?
 「もう中西さんに対しては感謝しかないです。あれだけベテランの方が、僕のような若造にいろんな面で付き合ってくださり、相談にも乗ってくださったんです。どれだけ台本を読むのに付き合ってくださったか。中西さんの間の取り方を間近で見ることが出来て、勉強にもなりました。俊平ってころころ心境が変わっていくから、今回はテンポ良く芝居をするのが僕の中でテーマだったんです。中西さんがさりげなくサポートしてくださったり、助けてくださったことが何度もあり、そのおかげで俊平を演じられた面もたくさんありました」
――お二人の関係はまさしく俊平と増岡ですね。
 「プロデューサーの方が、役なのか実際に演じている本人なのか、その境界線が分からなくなるくらいの演技が好きだとおっしゃって、僕自身もそういう演技が出来るようになりたいんです。中西さんとの芝居は、俊平が増岡を頼り切っているように、僕も中西さんのことを信頼している気持ちがにじみ出ていればいいな、と思っていました」

――俊平の咲子への恋心はいかがでしたか?
 「おもしろかったです。最初は『たかが仲居だろ』と見下していたのが、"どんまい"の一言でどんどん好きになり、見る目が変わっていく感じが(笑)。それに俊平本人は気づいていませんが、周りからは一目で分かるあの"デレデレ感"(笑)。演じていても楽しかったです」
――鈴之助さんから見て、咲子のような女性は?
 「好きです。恋愛をする上で、まず人として尊敬できるってとても大切ですよね」
――鈴之助さんはこの作品が昼ドラ初出演ですよね?
 「説明セリフや長セリフが多く、それを長回しで撮るのは初めての経験で緊張はしましたが、気持ちを作る、という面ではやりやすかったです。一回一回、集中力を切らさないようにしなくてはいけなし、しっかり気持ちを作らないとセリフに込められた意図が伝わらないことにも改めて気づきました。撮影に入る前、増岡さんとのシーンは劇中でも特にコミカルだから、毎回違ったアプローチで楽しい場面を作ろう、と意気込んでいたんです。ところが撮影はそんな悠長なことを言ってられない、ということに気づきまして(笑)。もちろんそういう志を持って撮影に臨みましたが、お芝居もナチュラルなもののほうがいいときもあれば、作り込んで大げさに演じたほうがいいときもあって、それに臨機応変に対応しなくちゃいけなかったんですよ。昼ドラは俳優としての"総合力"を求められる現場でしたね」

――昼ドラ初出演で新たな役柄への挑戦。この経験を経て、今後の目標は?
 「可能な限り、演じる役に自分を重ねて、役と自分の境界性をなくしていきたいですね。そのためにも鈴之助という人間をもっと磨いていくつもりです。『花嫁のれん』の現場ではテンポのある芝居を勉強できたし、共演者の皆さんに僕のいろんな面を引き出していただきました。僕もこの4月に30代に突入するので、これからは僕が共演する方々の良さを引き出せるような演技ができるようになりたいと思っています」

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