インタビュー

――俊平役の鈴之介さんが、今回は中西さんにいろいろな面で助けていただいた、と語っていました。
 「そんなことないですよ(笑)。僕らはコンビだから、登場したところですぐに流れを二人で掴まなくちゃいけなかった。だからセリフを覚えたとしても、そこからさらに台本を読み込むと見えてくるものがあるものだよ、なんて話をしたことはありますけど。本当にそれくらいですよ」
――コンビで演技をする上で気を付けたことは?
 「リハーサルのときのほうが本番より演技が良いときってあるんですよ。本番って変なアドレナリンが出てしまうことがあるから。ぼんち(俊平)と増岡はいろいろと楽しいことが出来る役だったので、できれば本番で一番面白くなればと思い、最初の1、2週は彼といろいろ話をしたし、時間が許す限りセリフ合わせもしましたよ」
――鈴之介さんとは初共演だと思いますが、そういう方とずっと長くいる関係性を構築するはやはり大変なものでしょうか?
 「全然大変じゃなかったですが、増岡の設定って正直、変だと思うんですよ。まさに"変なおじさん"(笑)。世話役で、捉えどころがなくて。四苦八苦しましたが、要はお母さんでいいんだな、と」

――増岡のような人物を演じたご経験は?
 「コメディはけっこうやってきたんですよ。若い時分、所属していた劇団の公演でも、笑わせるパートを積極的にやったりもして。でも増岡みたいな男は(笑)。登場1週目の台本を読んで、『どうしようかな』と思いましたよ」
――キャリアのある中西さんでもですか?
 「"ぼんち"というセリフにインパクトがあり過ぎて(笑)。よくこういう言葉を見つけ、チョイスしたな、と思いましたね。どう言えばいいのか考えている中で、俊平に『そうだよな、増岡』『いいんだよな、増岡』と問い掛けられると、増岡はまず『はい』と返事をするんです。『はい、ぼんち』と。それで"ぼんち"でなく、その前に来る"はい"に色を付ければいいということに気づいたんです。普通の暮らしの中で"はい"という言葉にそうそうバリエーションはないと思いますが、そこは絞り出して(笑)。おかげさまで監督からも、『いろんな"はい"があるものだね』と言ってもらえました。視聴者の皆さんが気づいてくださっていたら、増岡としては幸せでございます(笑)」

――では、俊平にとって母親のような存在でいいと思ったきっかけは?
 「まずセリフに『乳母みたいなものです』というのがあったんですよ。ぼんちのことを生まれたときからずっと気にかけてきたわけですが、立場として父親であるわけがなし、兄弟でも先輩後輩でも友人でもないし...。となると消去法で母親しかない、と」
――捉えどころのない人物とおっしゃいましたが、演じる中で増岡の"本質"のようなものは見えましたか?
 「"これが増岡だな"というものが見えたことはありましたね。食事の膳を運ぶのが誰より上手だったり、大女将に変わって奈緒子さんが『かぐらや』を仕切ったとき、ずっと勤めてきた仲居さんたちよりも早く微妙な変化に気づき、『何か違うんですよ』とつぶやいたり、会って間もないのに『奈緒子さんに任せておけば大丈夫です』と変にきっぱりと言い切ったり。仕事は出来るし、人を見る目もありますよね」

――増岡のはんてんにニッカボッカといういでたちも印象的でした。
 「何だか、いつの時代の人物か分からなくなってましたよね(笑)。僕の中でこだわったのはメガネです。役に合わせ髪も短くしましたが、そこにメガネを合わせると、見た目としていいんじゃないか、と思って。撮影に入る前に何軒かメガネ屋さんを回り、丸メガネを探してみたんですけど、どうもピンッとくるものがなかったんです。事前に相談していた美術スタッフの持ち道具さんが最初のリハーサルのとき、いくつかメガネを用意してくれていて、そのうちの一つを掛けたら、『これだね』という感じで馴染んだんですよ。それが放送で掛けていたものですが、ベストなメガネを持ってきてくれた持ち道具さんには感謝しています」
――『花嫁のれん』には今回からの参加となりますが、感想をお聞かせください。
 「実は昼ドラのレギュラーというものが15,6年ぶりなんですよ。それも前の作品は他局だと思います。この枠の作品に出ること自体、『モメる門には福きたる』('13)が初めてじゃないかな? この現場はとにかく明るい。楽しいし、さわやかだし、現場が清潔。主演の羽田さんや野際さんの存在がそうさせているのかもしれないけれど、品があるというか、きれいというか、総じて"美しい現場"なんですよ。だから、ここにいることがとても心地良かった。昼ドラは撮る分量がかなりあるけれど、それでいながらこんなに凛とした美しさがずっと保たれる現場なんて、そうそうないと思いますよ」

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