SPECIAL
INTERVIEW
演技に身を捧げている芽衣は、ひかり(渡辺麻友さん)にとって敵か味方か、いまだよくわかりません。宮澤さんの言葉から、芽衣の人物像に迫ります。さらに宮澤さんはこの作品で連ドラ初出演。テレビでは情報番組やバラエティ番組で活躍してきたものの、その胸にはある思いをずっと抱えていたそうです。
- 全身全霊で演技に向き合う芽衣を演じての感想をお聞かせください。
- “ミュージカル女優”として、エリートですね。お父さんが天才演出家で、音大出身で。子どもの頃から演劇の世界に親しみ、劇団の、そしてお父さんの成功を誰より願っています。もちろん、女優として自分の成功も願っているでしょうが、お父さんを支えるのが生きがいなのでしょうね。自分より他の人のことを考えられる人だと思います。
- ひかりに対しての厳しさをどう捉えていますか?
- かなりどぎついことを言っていますよね。実際、芽衣みたいな人がいたら、嫌です。現場の空気が悪くなりますから(笑)。言葉だけ聞くと確かにきついです。「命がけで舞台に立つ気がないなら、いますぐ辞めて!」なんて言えるのは、(マンガ「ガラスの仮面」の)月影先生か亜弓さんぐらいですよ(笑)。でも、芽衣の心にあるのは、すべては父の劇団のため、なんです。父の芝居をより良くしたいから言うのであって、そういう意味ではひかりへのアドバイスも、彼女のためになるものばかりです。間違ったことは言っていない、という思いを胸にセリフを言っています。「この子をいじめよう」という悪意がないからこそ怖いですし、「言い方をなんとかすればいいのに」とは思いますけど(笑)。
- では、芽衣はどんな女性だと思いますか?
- 猪突猛進型ですね。何事に対してもすごく努力をするし、「これだけ頑張ってきたのだから、こうなるべき」という思いが強いはずです。“こうなりたい”ではなく、“こうなるべき”なのが、またすごいですよね。他人にだけでなく、自分にも厳しい人なのに、劇団で思わずお父さんに“パパ”と語りかける場面があったんです。そこで、芽衣は女優である前に、天竺(吹越満)の娘であることを誇りにしているのだと感じました。
私はどちらかというと、グレーならグレーでいいと思うタイプですが、芽衣は白黒はっきりさせたい人。もしかしたら芽衣のような強さがあったら、かえって生きやすいんじゃないか、という気がしています。
芽衣の言動には、芽衣なりの理由があります
- 演じる上で大切にしていることは?
- 「こんなドラマチックなセリフ、一生言うことないだろう」という場面ばかりですけど、女優業にも父のことにも命がけなので、その強さを表現したいと思っています。芽衣として生きている瞬間は、相手の目をにらみつけるくらいの強さを出すよう心がけています。
- 物語が進むにつれ、登場人物たちの隠された過去や因縁が明らかになっています。
- 芽衣も15歳ぐらいのとき、麻美(三倉茉奈さん)が亡くなった事件を経験していて、それが彼女の人生にどんな影響を与えているのか考えました。ひかりが事件の関係者と知って驚いたと同時に、次々新たな事件が起きています。予想外の出来事の連続の中で、芽衣が何を考え、どう行動しているのか、私なりに考えて演じています。
- 芽衣の性格からすると、ひかりの素性を知ったら、彼女をすぐ追い出す気がしました。
- 芽衣はきっとひかりの中に強さを見出し、そこに惹かれているのではないでしょうか。「ひかりもサバイバーなんだ」と。芽衣のひかりとの距離の取り方はとても難しいです。突き放したかと思えば、急に優しくなる。詳しいことは言えませんが、そこにも芽衣なりの理由があるので、ドラマを見ている皆さんも気にかけてくださったらうれしいです。
- では、芽衣の見どころは?
- 芽衣が物語のただの傍観者かどうか、見ていただきたいです。ミュージカルのシーンはテレビドラマのワンシーンというレベルを超えていると自負しているので、劇団の場面も注目してください。
いまはホップ・ステップ・ジャンプのステップの段階
- ところで、宮澤さんは連ドラでは初出演となりますが、ミュージカル女優として5年ほどのキャリアをお持ちですよね。
- デビュー以来、ずっとテレビドラマでお芝居をしたかったので、念願が叶いました。この作品はミュージカルが大事な要素と聞き、これまでの活動が役立つ部分もあり、「いつかこの雨がやむ日まで」がドラマデビュー作ということをうれしく思っています。
一方で、映像作品でミュージカルの魅力を伝えるのは簡単なことではありません。「これは生半可な気持ちではできない」と感じています。
- 情報番組などでの宮澤さんの印象が強い方からすれば、ミュージカル界での活躍は驚きだと思います。
- そうですよね(笑)。私はもともと女優志望だったんです。ドラマに出たいと思いつつ、情報番組などに声をかけていただき、最初は戸惑いしかありませんでした。でも、出る以上、自分の気持ちに正直に、自分の思ったことを偽ることなくお伝えしよう、との気持ちで取り組んできました。
ミュージカル出演も私からすれば予想外の出来事。高校生の頃、演出家の宮本亜門さんに歌を聴いていただいたことがあって、私が芸能界で活動していると知り、ミュージカル舞台のオーディションに声をかけてくださったのがそもそもの始まりです。そこからいろいろなミュージカルのオーディションに参加させていただくようになり、いまに至っています。
- テレビドラマで演技をしていかがですか?
- 舞台では感情をさらに上乗せして演じることを求められますが、テレビは、ちょっと物足りないかな、というぐらいの表現でいいと言われたことがあります。なるほどと思いつつ、いざ演じるともっと感情表現を大きくしなくて大丈夫なのか、と思うばかりで。監督さんがOKを出してくださるので、大丈夫だと自分に言い聞かせています(笑)。女優としてはミュージカル舞台に出たことがホップで、この作品への出演がステップだと思っています。当分、ステップ状態でいろいろな経験を積み、「こういう役を宮澤エマに与えたらおもしろいのではないか」と、いち“素材”として魅力のある女優になるのが目標です。