第1回 「再審」
「教えて! ホーリツカンシューさん」をのぞいていただいてありがとうございます。
オトナの土ドラ「家族の旅路」は弁護士が主人公のドラマですので、法律事務所や拘置所でのシーンがあったり、難解な法律用語が登場したりします。そのため、専門知識を持った我々のような弁護士が「法律監修」という立場で参加し、誤りがないか、不自然な部分がないかをチェックしているのです。
このコーナーでは、少々とっつきにくい法律知識についてドラマをご覧の皆さんに少しでも興味を持ってもらえればと思い、ドラマに関係あることないこと含め、できるだけわかりやすくご紹介したいと思っています。お付き合いいただければとてもうれしいです。
さて、第1回のテーマは、ズバリ「再審」です。
「家族の旅路」の中ではものすごく重要なキーワードなんですが、案外正確な意味を知らない方も多いのではないでしょうか。

「再審」とは何か。
日本では、裁判で有罪の判決を受けたとしても、高等裁判所や最高裁判所に対し不服を申し立てることができますが、それでもなお有罪とされ判決が確定すると、もう争うことができません。
しかし、その有罪とされた人が全くの無実だとしたら。
そういう人のために、「判決を覆す明らかな証拠を新たに発見した場合」、確定した有罪判決であっても、審理のやり直しを請求することができるのです。
これを「再審請求」といいます。
再審請求に取り組む弁護人は、無罪とすべき新たな証拠を探さなければならないわけです。至難の業です。
再審の請求を行うと「再審請求審」が開かれます。そして、新証拠として提出されたものが無罪を言い渡すだけのものであるかどうかが判断されます。
これによって、審理をやり直すと決めた場合、裁判所は「再審開始決定」をします。
再審開始決定がされた後、裁判所は再度審理を行い(「再審公判」と通常言われます)、裁判官が罪を犯していないと判断すれば、晴れて「無罪」となるのです。
いかがでしょうか?いかに遠い道のりかご理解いただけると思います。
ちなみに、死刑判決が確定している者が再審請求をすると、事実上死刑の執行はされないようです。でも、法的には執行することは可能で、再審の請求中に死刑が執行された例もあります。 無罪とすべき明らかな証拠を新たに発見することは、本当に極めて難しいことです。広い砂漠のどこかで落としたコンタクトレンズを探すような…と言っても決しておおげさではないのです。
ドラマの中で、滝沢秀明さん演じる主人公・浅利祐介弁護士は、ある死刑囚の再審請求という究極のミッションに挑むことになります。はたして、彼は最終回までにクリアできるのか?ぜひハラハラしながら最後まで見守って頂きたいと思います。
読んでいただいてありがとうございました。第2回もお楽しみに。