女子ゴルフ界に新たな風を吹き込む黄金世代や、美しさでもファンを魅了する海外の選手。

 しかし、彼女たちに訪れているのは、“大会出場の危機”。

日本女子プロゴルフ協会・原田香里副会長:
「プロゴルファーは誰しもがなれるものじゃないと思うんですよ」 

 壁を乗り越え、来年もプロのトーナメントに出場できるのか、それとも育成ツアーに回るのか?

 女子プロゴルフツアーの「最終選考会」を取材しました。

 11月30日、兵庫県三田市のゴルフ場で行われていたのは、来年の大会出場をかけた最終選考会・通称「ファイナルQT」。

 過去9勝、賞金ランキング2位になったこともある、諸見里しのぶ選手。韓国の美女ゴルファー、アン シネ選手もこの日は厳しい表情ばかり。

 ほかにも服部真夕選手や金田久美子選手ら、女子ゴルフ界をけん引してきた選手たちも出場していました。

 今シーズン、続々と若手が躍進した女子プロゴルフ。来年の大会に賞金ランキング上位50人が“シード選手”として出場することが決まりました。

 しかし、それ以外の選手はファイナルQT「最終選考会」のラストチャンスに臨みます。

 選考会では、4つの試合で選手を絞り込みます。

 ファーストQTに出場した440人からファイナルQTまでに100人に絞られ、そして、この中から来季のツアー出場権を得られるのはわずか35人ほど。

 夢の舞台に戻れるのは、わずか一握りです。さらに…。

原田副会長:
「来年のQTからはプロの会員でなければ受けられない。 きちんとプロの資格を持っている人たちにツアーで活躍してもらいたいという思いがあるのでそこは整理しました」

 現在、プロ資格はプロテストに落ちても3年ごとにとることができます。しかし、女子プロゴルフ協会は、2020年以降、出場資格を厳しくする方針を打ち出しました。

 該当する選手は、今年のQTを突破したあと、来シーズンの賞金ランキングで上位に入るか、プロテストに合格しなければ、再来年のトーナメントにほぼ出場できなくなります。

原田副会長:
「単年登録者の人たちが、プロの資格を持っていないのに、プロアマに出たり、仕事をしたりするところが大きなひずみだった」

Q.実力重視に?

原田副会長:
「そうですね、実力もあれば人気も出てくると思います」

 この日、最も報道陣注目を集めていたのは、三浦桃香選手、19歳。彼女もまた「単年登録」の選手の一人です。

 長い手足を活かしたドライバーの飛距離はプロでもトップクラス。あどけない笑顔で人気を得て、黄金世代の顔になっていました。

 しかし…。

三浦桃香選手(9月のマンシングウェアレディース時のインタビュー):
「成績も出ず、バーディーをとれるところに行かず、悔しかったです」

 今年8月以降、14試合のうち10試合で「予選落ち」。賞金ランキングは81位で来年のシード権は得られませんでした。

 最終予選会には、トレードマークのミニスカートでなく、長いパンツスタイルでに臨んだ三浦選手。

 ギャラリーも、拍手もないゴルフ場。緊張感が走ります。

 一方、会場には、トッププロの選手の姿も…。

 名古屋出身の服部真夕選手、30歳。2011年のマンシングウェアレディースで優勝経験もある実力派…。しかし、今年の賞金ランキングは82位、11年連続で守り続けてきたシード権を失いました。

服部真夕選手:
「アプローチのイップスになってからショットに不安が出てきてしまった」

Q.ゴルフへの気持ちは?

服部選手:
「好きなことには変わりないですね、でもいま楽しくゴルフができているかというとなかなかそこは難しいですね」

 4日間の最終選考会の結果、服部選手は97位に終わりました。

服部選手:
「悔しいというよりは、本当にちょっと情けないという気持ちの方が強くて、素直にこの成績をしっかりと受け止めて、来年にどうつなげていくかは自分次第だと思うので」

 ゴルフ界を盛り上げてきた人気選手たち、最終選考会の結果は…。

 アン シネ選手は2オーバーの51位、2016年中国ツアーの賞金王、セキ・ユウティン選手は82位、諸見里しのぶ選手は68位でした。

 そんな中、三浦選手は通算6アンダーで6位に入り、来季のツアー出場権を確実にしました。

三浦選手:
「1年間あまり調子がよくなかったので、皆さんが心配して(かけてくれた)『がんばってね』という言葉が重く感じて、去年(のファイナルQT)とは全然違いました」

Q.来年QTは資格が変わり、単年登録では出られませんが?

三浦選手:
「そうですね、がんばるしかないのでがんばります」