共働き家庭などの小学生が放課後に通う「学童保育」。利用者が年々増えています。
ただ、施設などの環境は十分に整っているわけではなく、夏休みの1日に密着すると、様々な課題が見えてきました。ネックになっているのは厳しい費用面です。
■築54年の木造住宅で運営する学童保育クラブ

夏休みのある日、午前8時。名古屋市名古屋市熱田区にある神宮東学童保育クラブ。夏休みの学童保育は朝が早いんです。父親や母親があわただしく子供を預けていきます。
Q.少しだけお話を…
子供を預けた母親:
「ちょっともう急ぐのですみません」
別の母親:
「8時半なのであと3分後の電車に乗らないと」

神宮東学童保育クラブは、築54年の木造民家を借りて運営しています。崩れたかけた土壁に、天井、ずいぶん年季が入っています。全児童数22人のうち、この日は1年生から6年生まで合わせて16人が来ました。
■夏休みこそ大変…1日中子供を預かる

指導員主任の吉本友衣さん(24)は、3人のパートやボランティアと一緒に子供たちの面倒を見ます。学校がある日の運営は、放課後から午後6時までですが、夏休みは午前8時から午後6時までの1日保育です。

昼食の準備は子供たちも手伝います。メニューはオムライス。昼食はテーブルを並べて食べますが部屋の中は子供たちでいっぱいです。
この建物は、2階が6畳1間、そして1階が6畳2間。育ちざかりの小学生が集まると大騒ぎに。夏休みは、1日中そんな状態が続きます。
3年生の女の子:
「みんなで遊べて楽しい」
3年生の男の子:
「第2の家って感じ 楽しいし色んなことできるもん」
6年生の女の子:
「楽しいけど狭い」

学童保育の問題のひとつは、部屋の狭さです。
指導員主任の吉本さん:
「マンションが近くに建ってきていて、(利用する)人数も増えるかなと思っているんですけど うちも受け入れたいけど、どのくらい受け入れられるか。受け入れたところでこの狭いところでやっていけるかという不安はあります」
午後1時、昼食後のお昼寝タイム。昼過ぎになると2階の室温は33.2度。夏休みならではの悩みが、この「暑さ」。

1階、2階ともエアコンと扇風機がそれぞれ1台ずつ設置されていますが、設定温度を18度にしても室温は31度になっていてほとんど効いていません。寝ている子供たちも汗びっしょりで、起こそうとする指導員も子供たちがぐずると汗だくです。
せめて熱中症にはならないようにと、塩分の入ったタブレットを配ったり、お茶をたっぷり作って水分を摂らせたりしています。
吉本さん:
「夏休みは1日保育で、エアコンの効きも悪くなってきて、1番キツイです」
午後6時、子供を迎えに来た保護者に学童保育がどんな存在かを聞きました。
母親:
「ここが大好きで6年なのにいる」
別の母親:
「助かっています。なくてはならないですね」
別の日の週末の夜、神宮東学童保育クラブでは保護者が集まってミーティングが開かれました。実は、学童保育は父母によって運営されています。仕事や家事で忙しい中、指導員の採用や会計など全てを担います。

懸案の「建物や設備の改善」について聞きました。
父母会長の久田照美さん:
「(このクラブでは)、最大22人くらいの保育が可能ですが、22人分の保育費しか入ってこない、その費用で運営していく、この面積で対応しようとすると今の状態を回していくのが精一杯」
現在の保育人数だと、保育料や市からの補助金も増えず、費用面で難しいといいます。
久田さん:
「もどかしいけれども、じゃあどこからテコ入れしていったらいいのだろうかというところが見えない、なかなか見出せていない状況です」

このクラブの平成30年度の財政状況は、市の助成金が650万円、保育費が409万円、そのほか廃品回収などで得た収入を合わせた合計1083万円の収入がありました。
一方で支出は、人件費が822万円、家賃や光熱費が166万円、おやつや書籍などの備品代110万円と合計で1098万円と15万円の赤字でした。
人件費や家賃などはほとんど減らすことができないため、環境改善が難しいのが現状です。