がん患者の外見についてサポートする「アピアランスサポート」を広く知ってもらおうと、16日、東京でイベントが開かれ、自らも乳がんと闘う元SKE48の矢方美紀さんが登壇しました。矢方さんが出会って“ポジティブ”になれたと語る「アピアランスサポート」とは?

■元SKE矢方さん「ポジティブになることができた」

 10月は、乳がんについて正しい知識の普及や、検査で早期発見し、治療に繋げる啓発活動が世界中で行われる「乳がん月間」です。16日、東京・銀座ではイベントが行われ、自らも乳がんと闘う元SKE48の矢方美紀さんが登壇しました。

 矢方さんは25歳だった去年1月に乳がんと診断されました。そして去年4月に左乳房全摘出・リンパ節切除の手術をした後、抗がん剤の副作用で脱毛や、顔・全身のむくみなど、外見の変化に悩まされました。

 当時使っていたウィッグはインターネットで探しましたが、「ウィッグだと分かってしまうのでは…」と人目が気になったといいます。

 そんなとき出会ったのが、愛知県日進市のNPO法人「全国福祉理美容師養成協会」で、乳がん患者らの髪や爪など、外見のサポートをしている岩岡ひとみさんでした。岩岡さんは、愛知県や東京都を拠点に約10年にわたって、抗がん剤の副作用で脱毛したり、爪が割れてしまったりした乳がん患者らに医療用のウィッグを提供したり、爪のケアをするなどしています。

 美容師の資格を持つ岩岡さんは、ウィッグのなかには色を染めることができたり、ヘアアレンジができるものもあると、別のウィッグを矢方さんに紹介。また、矢方さんが抗がん剤の副作用で、多量の汗をかくことに悩んでいたときには、ウィッグを快適に着用できるよう、汗を吸収するパットを敷くといいと、アドバイスしました。

 矢方さんは、岩岡さんに紹介されたウィッグを使ったり、アドバイスを実践することで、ウィッグをつけた自分の姿に自信を持てるようになったといいます。

(画像提供:NPO法人全国福祉理美容師養成協会)

 イベントで矢方さんは、「外見を整えることでポジティブになれた。おしゃれも楽しめたし、闘病しながら仕事をすることもできた。アピアランスサポートの専門家に相談することで様々な知識が得られたことが大きかった」と話しました。

■外見での苦痛並ぶ…乳がん患者の「治療に伴う身体症状の苦痛」

 厚生労働省によると、2016年の統計で、乳がんは女性のがんの部位別羅患数と羅患率で、ともにトップとなっていて、全国で約9万5000人の患者がいるということです。また国立がん研究センターの2014年の調査では、女性の11人に1人が乳がんにかかることが分かっています。

 そんな中、国立がん研究センターのアピアランス支援センターが、2009年にがん患者638人に対して行った「治療に伴う身体症状の苦痛」に関する調査では、乳がん患者の場合、トップが「髪の脱毛」、続いて「乳房切除」が並びました。他にも「まゆげ・まつげの脱毛」や「手の爪の割れ」など、外見に関する苦痛の大きさが伺えます。

【乳がん患者の治療に伴う身体症状の苦痛 TOP20】

1位:髪の脱毛
2位:乳房切除
3位:吐き気・嘔吐
4位:手足のしびれ
5位:全身の痛み
6位:まゆげの脱毛
7位:まつげの脱毛
8位:体表の傷
9位:手の爪割れ
10位:手の二枚爪
11位:便秘
12位:足爪のはがれ
13位:だるさ
14位:口内炎
15位:発熱
16位:足のむくみ
17位:手爪のはがれ
18位:味覚の変化
19位:顔のむくみ
20位:しみ・くま

※データ:国立がん研究センター アピアランス支援センター

■一番の悩みを聞きながら会話を…周囲ができることを当事者の矢方さんがアドバイス

 イベントでは、参加者から「がんと打ち明けられたとき、その人にどんな言葉がけをすればいいのか」という質問があり、矢方さんは「悩みのポイントは人それぞれ異なるので、何がいちばんの悩みなのか聞きながら会話していくといいのでは」と答えていました。

 また、矢方さんは自身のセルフチェックで胸にしこりを発見したものの、当時は痛みがでてきたら病院に行こうと考えていたことに触れ、「友人の勧めがなかったら、今も病院に行かずに生活をしていたかもしれないと思うと、こわい」と振り返り、「日頃から自分の体の“通常の状態”をチェックしておいて、異変が生じた際に病院に行けるといい」と話していました。