後を絶たない特殊詐欺の被害を防ごうと、昭和の大スター美空ひばりさんのモノマネをして替え歌を披露している人がいます。職業は何と警察官!高齢者の間でじわじわと人気が広がっています。
■愛知県警の警察官が女装してまでモノマネをする理由は「特殊詐欺」の撲滅

10月、名古屋市北区のコミュニティセンターに集まった大勢の高齢者。そこに現れたのは、真っ赤なドレスに大きな髪飾りをつけた…男性!
(声援)
「ひばりちゃん!」

(真っ赤なドレスの男性)
「ありがとう」
美空ひばりさんのモノマネをするこの方、実は…愛知県警北署で勤務する現役の警察官、瀬戸山巡査です。

普段の業務はというと…?
瀬戸山巡査:
「治安警備と災害警備になるので、最近ですと『即位の礼』が東京で開催されましたので、10日間ほど(治安警備で)派遣という形で警視庁の方に出向しました」
そんな瀬戸山さんが美空ひばりさんのモノマネを披露するきっかけが…。
瀬戸山巡査:
「(美空ひばりの)モノマネができるやつがいるからと、去年警察関係者の結婚式に呼んで頂いて」
同僚:
「一緒に結婚式に行くんですけど、鉄板のように歌われています。盛り上がります!」
警察関係者の中で話題となり「これを活用しよう」とひらめいたのが、特殊詐欺の防犯対策を行う谷口さん。
谷口生安課長:
「最近特殊詐欺が多いものですから、高齢者の心に響く歌が歌えるんじゃないかということで、替え歌がいいかなとひらめきまして」
■2019年の被害額は愛知県内だけで7億円…ヒット曲『柔』の替え歌で特殊詐欺の撲滅目指す

愛知県警によりますと、県内の特殊詐欺被害は、今年に入り436件(9月末現在)。被害額はあわせて7億円にのぼり、このうち65歳以上の高齢者が被害者の約75%を占めています。

中でも、医療費や税金が戻ってくるとして、ATMに誘導しお金を振り込ませる「還付金詐欺」が増加中。
そこで美空ひばりさんの昭和39年のヒット曲『柔』に乗せて「還付金詐欺」を防止する替え歌を作詞家と作曲家の許諾を得て作りました。

<“瀬戸山ひばり”の『柔』替え歌>
「(還付金)あると思うな 思えば負けよ 負けて虎の子を振り込まないで~♪」
瀬戸山さんが歌うと会場も大盛り上がり!

<“瀬戸山ひばり”の『柔』替え歌>
「医療費返すと 電話が来ても 還付金詐欺の電話だからだまされないで~♪」
高齢女性:
「よかったです。声も良かったし、ひばりさんの歌に負けないくらい、お上手でした」
しかし、中には…。
別の高齢女性:
「(Q.モノマネは似てました?)褒めるところはないけど、まぁまぁだね、歌の面では。私は厳しいよ、自分がカラオケもやるしね」
それでも、若き警察官の努力は伝わり…。
高齢女性:
「(替え歌は)いいと思いますね、こういうことは歌にすれば心に残るけどね」
別の高齢女性:
「やっぱり自分は大丈夫と思ってはダメ!」
最後に、詐欺にひっかからない心構えを教えて頂くと…?

“瀬戸山ひばり”:
「うまい話はないわよ!」
瀬戸山巡査は11月22・23日に名古屋で開かれるG20外相会合の治安警備にあたるため、次回の公演は未定です。