愛知県瀬戸市出身の高校生棋士・藤井聡太七段。19日史上最年少でのタイトル挑戦をかけた対局に挑みましたが、惜しくも敗れてしまいました。

 敗北の原因は「頓死」。急死、突然亡くなるという意味ですが元々は将棋用語。自分の勝ちを見誤り、逆に相手に負けてしまうという意味です。終盤の逆転負け、一体藤井七段に何があったのでしょうか。師匠の杉本八段が解説します。

 19日行われた大阪王将杯・王将戦挑戦者決定リーグ。無念の敗北を喫した藤井七段から出たのはこんな言葉でした。

藤井七段:
「途中から少しでも嫌味を付けないと勝負にならない局面になってしまったので、できるだけ局面を複雑にしようと思って指してました。ちょっと最後間違えてしまったのは残念ですが、だとしてもそれが実力なのかなというふうに思います」

 間違えてしまった…そう話した藤井七段。師匠の杉本昌隆八段は…。

杉本八段:
「非常に難易度の高い頓死なので、これは頓死してしまう棋士の方が多いぐらいの難しさでした」

「頓死」…自分の勝利だったのを見誤って、逆に相手に負けてしまうという意味の将棋用語です。

 将棋界の8大タイトルの一つ、王将戦。藤井七段が勝てば史上最年少でのタイトル挑戦となる大事な一局でした。

 対局が始まったころ、藤井七段の地元・愛知県瀬戸市では店のシャッターを使った大盤での解説がスタート。

洋品店の飯島さん:
「勝ちを信じて最後まで応援しようと思います」

 さらに、夕方5時、地元のFMラジオ放送局では応援番組を生放送。市長もハチマキをして駆けつけました。

 対局は、藤井七段の攻めを広瀬竜王に逆用され苦しい展開に。しかし終盤、藤井七段にチャンスが…。

杉本八段:
「九分九厘負けているという状態がずっと続いていて、一瞬逆転して藤井勝ちになったんですね。控室も大変な盛り上がりを見せまして」

 しかし、そんな中で痛恨の一手が…。

杉本八段:
「(藤井七段が)ここで歩を打ってしまったんですね。危ないようでも5七玉と右に逃げていれば、藤井七段はおそらく勝っていたようですね」

 広瀬竜王の王手に対し、間に歩を打ってしまった藤井七段。横に逃げていれば、勝っていました。

杉本八段:
「若い藤井七段は経験はいくらあっても良いでしょうし、今回の負けって失敗でもないし挫折でもないですよね。非常に大きな経験を積んだということだけですね」

 対局後、藤井七段は最後の局面について…。

藤井七段:
「最後はかなり難しくなったのかなと思ったんですけど、その後間違えてしまったのかなと思います」

 一方、対戦した広瀬章人竜王は…

広瀬竜王:
「最後はちょっと負けにしてしまったのかなと。運が良かったかなと思います」

自らの頓死で逆転負けを喫した藤井七段。最後に、こう語りました。

藤井七段:
「来期も一局一局がんばりたいなと思います」

 現在17歳4ヶ月の藤井七段。今回は最年少でのタイトル挑戦は逃しましたが、来年6月ごろの棋聖戦で記録更新の可能性を残しています。