毎年、11月だけで40万人以上が訪れる愛知県足助町の紅葉の名所「香嵐渓」。見ごろを迎えた今、香嵐渓の1日を取材すると様々な人間ドラマが垣間見えました。

■午前6時…静かな香嵐渓に早くも人の姿が

 午前6時。まだ日の出前、さすがに見物客はいないと思いきや、すでに人の姿が。豊田市から訪れた夜勤明けのカップルです。

女性:
「仕事終わって。夜勤してて。そのまま寝ずに来ました」

 深夜2時まで仕事をしたあと、一睡もしないで来たそうです。

女性:
「昨日いきなり、(夜勤明けに紅葉を)見たくない?と彼に言われて(笑)」

男性:
「(早朝は)渋滞とかもないし、すぐ来て帰れるかなって」

女性:
「朝おすすめです。初めて来たけど(笑)」

 2人は職場の工場で知り合い、付き合って2年。香嵐渓には、ある思い出があるといいます。

女性:
「一緒に香嵐渓に行った日に付き合ったので、毎年香嵐渓行こうねって言ってます」

男性:
「またこれからも何回も来たいなって思ってます」

 一方、横浜から来たという男性は、カメラで撮影しながら旅をするのが趣味。

横浜から来た男性:
「先週は(山梨県の)河口湖(に行った)、来週は鎌倉です。一年中どこかしら行ってます。(Q.ご家族は?)好きにすればと。一緒に行こうとはならないです(笑)面倒くさくないですね、気ままで」

■炭焼きフランクフルトのお店には早朝から行列

 午前7時半、多くの飲食店が出店する広場に人が集まっていました。炭焼きのフランクフルトが自慢のお店では、開店の30分前から、炭の火入れ。

 そして、午前8時の開店には、朝早くからお客さんが押し寄せ、どんどん売れていきます。

 そんな中、焼き方を教わる若者たちがいました。

Q.このアルバイトは長いんですか?
1人目の男性:「初めてですね」
2人目の男性:
「僕も初めてです、今日が初日です。野球部の先輩方がやっていて僕たちが受け継ぎました。大学4年生でちょうど引退した時期になるので、引退してここのバイトをやるって形ですね」

 この日がアルバイトの初日。名城大学の野球部に所属する4年生で、代々部活を引退した後、この時期限定で、住み込みで働きに来るそうです。

 慣れない手つきでフランクフルトを焼くのは、チームのエースだった坂倉誠人さん(21)。三重県の津商業出身で、実は3年の夏に甲子園に出場。強豪・智弁和歌山にも勝利していました。

 坂倉さん以外にも、3人中2人が、甲子園に出場した経験が…。バットをフランクに持ち替えて秋の香嵐渓を盛り上げます。

■外国人観光客も続々…大勢の人がシンボルスポットに

 午前10時、香嵐渓のシンボル「待月橋(たいげつきょう)」は、この時期にしか見られない景色を一目見ようと、大勢の人で賑わっていました。

 シンボルの待月橋を渡り、その先に1200メートル続く「もみじのトンネル」を歩き、もみじ狩りを楽しみます。陽を受けて、鮮やかに輝く様は、まさに今しか楽しめない絶景です。

 外国人観光客の姿も多く見られました。

Q.どこから来ましたか?
男性:
「タイから来ました。とてもきれいでカラフルで、緑も黄も赤も茶も全部あって」

 実は香嵐渓は、ここ数年で外国人観光客が急増。中国やタイなど、アジアを中心に、訪れる人が増えています。マレーシアの女性に、香嵐渓に来た理由を聞くと…?

女性:
「マレーシアには四季がなく、秋がないからとても素敵です」

 紅葉を美しいと感じる心は、万国共通のようです。

■今年は家族3人で「香嵐渓」…初デートも、結婚後も、子供が生まれても

 正午、飲食店が出店する広場はピークの時間帯に。名城大野球部のメンバーが働く炭焼きフランクフルトのお店も大忙しです。

 1歳の赤ちゃんを連れてアツアツのフランクフルトを頬張る、こちらの家族は…。

Q.香嵐渓はよく来ますか?
妻:「年一回」
夫:
「紅葉の時に毎年。付き合いだして、来て。初デートこれ、結婚前これ。今回初めて(子供も)」

 初デートが香嵐渓。家族3人では今年が初めてです。

妻:「なんかすごいね」

夫:「感慨深いものがあるよね」

Q.来年以降も来ますか?
妻:「一応来る予定ではあるけど」

夫:
「毎年来たいねってさっきも話してたんで」

妻:
「2人目生まれても。次は4人で来られたらいいなって」

■夕方…「ライトアップ」目当てに国道は渋滞

 陽が傾き始めた午後4時。香嵐渓に続く国道に、渋滞ができていました。その長さ、およそ4キロ。

 この渋滞、10年ほど前まではお昼がピークだったそうですが、近年は夜のライトアップが人気で、少しだけ人の流れが変わったようです。

■いよいよライトアップ!幻想的な風景に

 午後5時。日が暮れるとライトアップが始まりました。

 飯盛山全体が照らされるため、山が浮かび上がったような幻想的な雰囲気に様変わりします。三重県四日市市からやってきた60代のご夫婦は…。

夫:
「きれいやね、すごくきれいやった。人がこれだけおると賑やかで、祭り気分というかそれがいい。(普段から夫婦で)あちこち行ってる。みんな出て行って子供もいないし(笑)」

 結婚生活44年。3人の子供は自立し、ご主人は仕事を定年退職。2人で出かけるのが楽しみだといいます。

夫:
「あとはもう健康だけ。子供がそれなりにきちっとやってくれたらOK」

妻:「今が青春です(笑)」

■ライトアップ終了…香嵐渓の1日にはたくさんの笑顔が

 そして午後9時。照明が落とされ、香嵐渓の長い1日が終わりました。

 もう誰もいなくなったのかと思いきや、名城大野球部のメンバーはまだ働いていました。照明が消えた30分後、最後の1本を売りきりました。

坂倉さん:
「正直疲れましたね。その一言です。疲れたんで今日は早く寝ようと思います」

 今が見ごろの紅葉スポット・香嵐渓。そこには、いろんな人たちが集まって、幸せそうな笑顔がたくさんありました。

【香嵐渓へのアクセス】
 名古屋から猿投グリーンロードを経由して約50分

【ライトアップ】
 11月30日(土)まで