愛知県岡崎市の神社で8日、400年の伝統がある祭りが行われました。真っ黒になった『大根』を一斉に食べるというちょっと変わった祭りでした。

 湯気が立ち上る熱々の釜の中から出てきたのは、真っ黒な長方形の物体…。テーブルに並べられると、集まった人たちが一斉に食べていきます。実はこれ、じっくり味噌で煮込まれた大根なんです。

 岡崎市の山あいにある小さな町の神社で行われた『明見のお当』と呼ばれる祭りの一幕です。

男性:
「大根がこんな黒いのね。『変な行事だ』って思われているのは最近知りました」

 400年以上前の戦国時代に、領主が戦で勝利した祝いに村人たちへ大根をふるまったのが始まりというこの祭り。

 何と、真っ黒な大根を作るのには3日もかかるそうです。

 祭りの2日前、立派に育った大根を町民が神社に運び、長さ15センチに切りそろえると、次々皮をむかれて「真っ白」に。およそ200本を用意します。

 大根は、祭りの前日に釜に入れられ、味噌でじっくり煮込ますが、その時間『20時間以上』。町民が寝ずの番で焦げ付かないように見守ります。

 そして祭り当日、空も明るくなって神社で儀式が始まるころには「真っ白」だった大根は「真っ黒」に。

中まで味噌がしみ込んだ熱々の大根を、町民らがおいしそうに口へ運んでいきます。

参加した女の子:
「おいしかったです。ずっと続いてほしいです」

同・男性
「5本ですよ、5本(食べました)。今年の大根はおいしいですよ」

 仕込むのに20時間以上かけた大根ですが、わずか30分足らずで参加した人たちのお腹に収まっていきました。