感染の拡大が続く新型コロナウィルス。対策としてうがいや手洗いに加えて重要なのがマスクですが、ドラッグストアでは品薄状態になってきています。

 背景には海外からの旅行客が日本で大量にマスクを買い求め、需要に拍車がかかっていることがありますが、そこにはある理由がありました。フル稼働するマスク工場と合わせて取材しました。

 28日朝の名古屋駅前。街ゆく人の顔にはマスクが…。

女性:
「愛知で新型コロナが発症したと聞いて、怖くて予防のためにつけています。ストックは5枚くらいしかないかな。」
別の女性:
「今は行きつけの薬局に行っても売り切れです、売り切れ」

 新型肺炎の影響で品薄状態が続くマスク。1月24日、名古屋のドラッグストアでは…。

ドラッグストアの担当者(1月24日取材):
「山積みにしていたんですが、補充をしてもどんどん減っています。(販売戸数は)通常1日100個くらいですが、3日前で500個、2日前で800個、昨日にいたっては1100個と、どんどん販売数が伸びています」

 普段の10倍以上の勢いで売れていると言います。この日もマスクを「箱買い」する人の姿がありました。

女性客:
「ネットでいつも買うんですけど、そこでも売り切れがあるみたいで。しばらくは(ストックが)あるんですけど念のため」

 こうした品薄状態に拍車をかけているのが、外国人旅行客によるまとめ買い。

 この店では、購入者の実に8割以上が海外からの観光客で、しかも特定のマスクに人気が集中しているといいます。

台湾から来た観光客:
「日本製のものはあまり買えないから、日本に来たら日本製の物を買いたくて。友達にも頼まれています。肺炎はすごく心配で、みんなとてもビクビクしています」

 品質の優れた日本製のマスクは、海外での流通が限られているため、日本に来た観光客がまとめて購入するケースが多いのです。

 名古屋市天白区にあるマスクメーカーの「ヨコイ」では、2ラインでフル稼働で製造しています。(1月24日取材)

 2週間ほど前から、国内だけでなく中国からも新規の注文が相次いでいて、注文は前の年の10倍にもなっています。休日も工場を稼働させ、増産体制をとっています。

ヨコイの社長 岡田守男さん:
「コンテナ単位だとかそういった注文になっていまして、さすがにそこまでの在庫は持っていませんので、てんてこまいというような感じになっています。従来は7枚入りが中心だったんですけど、50枚入りにシフトして、今はこれだけを集中生産しています」

 ヨコイのマスクは、不織布の裁断からプリーツ加工、耳にかけるゴムの取り付けまで厳格な管理のもと、全て国内で行っています。

同社長:
「マスクは人の肌に直接触れるものなので、安心安全、品質が重要」

 出来あがったマスクは作業員の目で1つ1つ検品され、箱に詰めて出荷されます。品質の面でも優位にあるメイド・イン・ジャパンのマスクですが、実は日本で流通するマスクの8割は海外で生産されたもの。日本製のマスクは、全体のわずか2割ほどです。

 海外製のマスクは生産コストを抑えられる一方で、輸送に時間がかかり、店頭に並ぶまでに2ヶ月以上かかる場合もあり、急な増産には対応できないこともあるといいます。

同社長:
「今必要という意味では、ジャストインタイムの納品ができないということになります。(品質面以外にも)安定供給という国産の優位性は高いと思います。(速やかに供給するという)使命感を持って、製造にあたっています。メイド・イン・ジャパン、国産という部分での安心や安全といった信頼はこれからも大切にしていきたいと思っています」

 海外製品も含めて店頭で品薄状態が続くマスク。

スギ薬局の担当者(1月24日取材):
「商品の確保は日に日に難しくなっていて、2、3月は花粉症の需要も出てくるので、海外の方も当然ですが日本の方も買う人が増えてきます。そういう方に提供できるよう、在庫の確保を本当に今、一生懸命やっています」

 感染力が強まっているともいわれる、新型コロナウィルス。感染拡大を防ぐために、関係者の努力が続いています。