新型コロナウイルスによる肺炎について、WHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。世界各国に感染が広がる中、30日三重県でも新型肺炎の患者が初めて確認されました。

 この男性は、最初に医療機関を受診した際には、新型肺炎と判断されていませんでした。早い段階で見抜けなかった「感染」。背景にはその診断の難しさがありました。

鈴木英敬三重県知事(30日夜):
「県内在住者50代男性が、新型コロナウイルスに感染していることが判明しました」

 30日、三重県内で初めて確認された「新型肺炎」の患者。

 感染していたのは、三重県内に住む外国籍の50代男性で、12月末から帰省のため中国・武漢市に滞在し、1月13日に、三重県に戻っていました。感染確認について三重の県民は…。

三重県民の女性:
「あ、もう最悪やなと思いますね。驚きですね」

三重県民の男性:
「なるべく出ないというのが大事だと思います。そういう僕もいつかかるか分かりませんけど」

別の男性:
「今までに、その潜伏期でどれだけの人が日本にみえているかというのが…」

 三重県が設置した相談窓口には、31日朝から問い合わせが殺到。15時までに333件の相談があり、最も多かったのは「感染した男性の行動歴」についてでしたが…。

担当課長:
「今のところは『非公表』とさせていただいておりますので、ご理解の方をよろしくお願いいたします」

 一方、今回感染が確認された経緯にはある「不安」なポイントがありました。

三重県の担当者(30日夜):
「1月27日、救急搬送にて医療機関を受診しております。画像検査でも肺炎像はなく、自宅療養となりました」

 感染が確認された男性は、1月25日から発熱があり、27日に医療機関に救急搬送。医師は肺炎を疑い、レントゲンで診断しましたが、肺炎の症状が出ていなかったため、男性に「自宅療養」を指示していました。

 結果、男性が発熱してから新型肺炎と確認されるまでには、およそ6日間を要したことになります。最初の診断で「新型肺炎」とは見抜けなかったのでしょうか。

岐阜大学医学部附属病院 村上教授:
「『これは(新型)コロナウイルスかもしれない』という判断は、はっきり言って不可能です」

 感染症に詳しい岐阜大学医学部附属病院の村上啓雄教授。「新型コロナウイルス」に感染していても、医療機関での診断は難しいといいます。その理由は…。

村上教授:
「(新型コロナウイルスは)通常の風邪やインフルエンザと全く同じような症状がでます。発熱あるいはせき、一般の風邪と同じですので」

 初期症状は風邪やインフルエンザとほとんど同じ新型コロナウイルス。患者のデータも少ないため、国の検査などでなければ判断は難しいといいます。

 村上教授は、中国への渡航歴がある人や、風邪の症状がある人が、周りの人を感染させない対策をすることが最も大切だと話します。

村上教授:
「強調させていただきたいのは、症状のある人がちゃんとマスクをして、(中国に渡航歴がある人は)曝露された可能性がある方々ですので、可能性がある人はしばらく症状がなくてもマスクをすると」