去年、ステージ4の舌がんであることを公表したタレントの堀ちえみさん。

 病気を克服し、公の場への復帰を叶えました。「地獄だった」と話す闘病を乗り越えた今、堀さんが感じる“生きること”とは…。

■舌がん乗り越えるため手術…堀ちえみさんの術後の苦悩

堀さん:
「こんなに早く戻ったのは『奇跡だ』と言われているくらい根性出して頑張りました。『スチュワーデス物語』の魂ですよ(笑)」

 1月10日、東海テレビの生放送番組「スイッチ!」に11か月ぶりに出演するため、堀さんがスタジオを訪れました。

ピーコさん:
「食べられるものは食べられるの?」

堀さん:
「もう、食べられるものは食べないと損です(笑)」

 打ち合わせではアイドルの時に演じた『スチュワーデス物語』の主人公のように可愛らしい笑顔で、現場を和ませてくれました。

 堀ちえみさん、52歳。去年2月19日、52歳の誕生日の4日後…。

【堀ちえみオフィシャルブログ「hori-day」より】
「私、堀ちえみは、口腔癌(左舌扁平上皮癌)と、診断されました。いわゆる舌癌です。ステージは4です」


 堀さんは、ブログでステージ4の舌がんであることを公表。手術しなければ生存率は50%、堀さんは舌の6割以上を切除する手術を受けました。

堀さん:
「家族が望んでいました。『命さえあればそれでいい』、『しゃべれなくたって、お母さんの言葉が聞けなくてもいいから生きてほしい』と。(舌は)太ももから再建をして舌にくっつけたわけなんですけど、大きめに逆算して最初は作ります。なので、口も閉じないくらいに大きな肉の塊がガバって入った状態で、自分の顔を初めて鏡で見たときに『命は助かったとしても、人生ないな』と思って。そこから今度は別の苦悩が始まりました」

 待っていたのは、今まで当たり前にできたことが「できない」という現実でした。

■家族が伏せた“術後の生活”…「でも命があったから笑うしかない」

堀さん:
「食べること、しゃべること、唾液すらも飲み込めない状況だった。ICUに入っていた3日間は本当に地獄で、手術の内容は聞いていたんですけど、こんなにしゃべれなくなって。家族からは(私が術後どうなるかを)伏せられていて、実は聞いていなかったんですね。(私に)言ってしまうと手術に気持ちを向けてくれなかっただろうということで、『あえて言わなかった』と」

 術後、発声練習に取り組んだ堀さん。「あ・え・い・う・え・お・あ・お」と言葉を発しますが、まるで初めて子供が言葉を発するような状態でした。

堀さん:
「音漏れがするので、余計な音がどんどん漏れていっちゃう。独自の方法で息を長く、ばっと(息を全部)出しちゃうと、『あ~』で終わっちゃうので。言葉で繋げていくのにすごい肺活量と腹筋がいるんですね」

 舌の厚みが日々微妙に変わるため、言葉の発生を調整する毎日。今も、言語聴覚士とともにリハビリを続けています。

 今の目標は、2年後のデビュー40周年にファンの前で歌を歌うことです。

堀さん:
「本当に正直に言って地獄でしたよ。でも、でもやっぱり命があったから。もうここまで辛い思いしたら、ここまで辛かったら笑っちゃうしかないのよ。笑うしかないの。もうね、くよくよ思っていても始まらないっていうの?あそこで終えなくてよかったと思えるものを、きちんと与えていただいたので」

■闘病を支えたのは、全てを吐き出した「日記」

 堀さんが大切にしている1冊の日記。闘病中の状態や不安に感じたことなど、全ての気持ちが書かれています。この日記は堀さんの娘からの提案で始めたといいます。

【「Stage For~」著・堀ちえみ より】
長女:
「いろいろと考えてしまうだろうから、その時思ったことをすべて吐き出せる場所があったらいいなと思って」
「私と見せ合いっこするとなったら、お母さんの性格からしてきっと、前向きで明るいことを書くんじゃないかと思ったんだよね」

堀さん:
「しゃべりづらい、歌えない。失ったものはたくさんあったと思うんですけど、一番に見えてくる景色が全然、病気になる前と違う。目に映るもの、聞こえてくる感触、あと、当たり前のことが幸せだと感じられる毎日の生活。そういうこと全てが人生の厚みとなって、私のこれからの人生をとても素晴らしいものに変えてくれたんではないかと思っています」


 堀さんが今、感じる「生きるということ」について、堀さんは「一言で言えば『全て』ですね。生きてこそ、何もかもが、生きてこそ」と話します。

 堀ちえみさん、52歳。がんを乗り越えた今、全てのことを新鮮に感じています。