新型コロナウイルスの影響は、企業の経営にも深刻な影を落としています。ホテルは休業、さらにはモノづくりを支える町工場も影響を受けていました。

 愛知県常滑市のホテルを訪ねると、電話中の支配人が…。

支配人:
「(通話相手に…)いま3月の末までキャンセルいただいているんですけど、4月以降って状況どうですか?そうなんですか…。中国は4月も難しい?あぁ、そうですか…」

 支配人の男性が海外からの旅行客の状況を旅行会社に問い合わせていました。

支配人:
「いい情報が聞けたらよかったなと思ったんですけど、絶望ですね…」

 利用客の8割が中国からの団体客だというこのホテル。

例年ならロビーは宿泊客で大賑わい…のはずが、ホテルには支配人1人だけ。

新型コロナウイルスの感染拡大で1月末から宿泊のキャンセルが殺到。2月6日から休業しています。

支配人:
「3月の末までの予約で、およそ250件(キャンセル)ですね。この状態で営業を続けていくことが困難になりましたので」

 中部国際空港周辺にはこのホテルを含めて9軒のホテルがあります。東海テレビの取材では、このうち7軒で去年の同じ時期と比べて宿泊客が激減。

中には2月だけで延べおよそ4万室がキャンセルになり、3億円もの損害が出ているホテルも…。

 3月以降もキャンセルが続いているといいます。およそ70ある客室では、ベッドの布団が畳まれたままになっていました。

 客が消えたホテル…。支配人は1人、営業再開の日を心待ちにしています。

支配人:
「GWあたりに再開できればいいかなと思っているんですけど。ただ今日本で感染拡大がされている状態で、ちょっと今は再開のめども立っていないというのが。早くお客さまに戻ってきていただいて、以前のような活気があるロビーになればいいかなと思います」

 一方、東海地方を支える「モノづくり」にも影を落とし始めています。

 2月18日、名古屋市港区の「千代田鋲螺」。

創業70年、車のエンジンなどで使うネジを作っているトヨタ自動車の孫請けの工場です。

千代田鋲螺 野村社長(68):
「ようやくトヨタさんも今日から生産再開ってことで、それもフルには(生産体制を)絶対に組めないと思いますので、これから私どもの部品は影響を受けることになると思います」

 社長の野村が心配しているのは、今後起こるかもしれない「生産調整」。

千代田鋲螺 野村社長:
「ここの設備で作ってるのは、中国を含めた輸出のウエイトが高い部品なんですね…」


 工場で作られたネジは、中国に拠点を置くトヨタ系の自動車部品メーカーなどに全体の2割ほどが輸出されています。

 新型コロナウイルスによる操業停止で、現地工場が在庫を抱えてしまうと、生産を一時停止せざるを得ない状況になることも。さらに…。

Q.通常だと、1月から3月はどういう時期なんですか?

野村社長:
「本来は特にトヨタさんあたりでも3月の決算前ですからね。例年ですと意欲的な生産をされる、そんな時期なんですよ。1、2、3月っていうのは」

 消費増税や米中貿易摩擦…ただでさえ売り上げが落ち込み、巻き返しを図りたかった「書き入れ時」を直撃した今回の新型コロナウイルス。

二重苦ともいえる状況に、野村社長は…。

野村社長:
「早く終わって正常な経済活動にうまく収束すればいいなと、正直なところ切に願うばかりです」