新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が基本方針の中で呼びかけたテレワークや時差出勤。すでに導入を始めた職場もありますが、順調に運用されているところも、そうでないところもあるようです。

 名古屋市中村区の「エイチーム」。ゲーム開発やネットサービスを手がけるIT企業です。

 午前10時半になろうかという時刻に出社してくる人もいますが、遅刻ではありません。

(リポート)
「こちらの会社では新型コロナウイルス対策として、コアタイムを11時からに変更しています」

 感染拡大が止まらない新型コロナウイルス。こちらの会社では、通勤ラッシュを避けるため、午前10時から午後4時としていたコアタイムを、2月18日から前後1時間ずつ短縮し、時差出勤がしやすい環境を整えました。

加藤厚労相(25日):
「(企業や団体には)休暇の取得や時差出勤、テレワークなどについて支援していただく。まさに国民の皆さん1人1人が一丸となって、この感染拡大防止に向かって取り組んでいただくことをお願いする」

 
政府が新型コロナウイルス対策として推奨する時差出勤やテレワーク。

 エイチームでも、パソコンのモニターを通して打ち合わせをする女性が…。テレワーク=在宅勤務をしている社員です。

 元々、介護や育児を抱える社員を対象にした在宅勤務制度がありましたが、先週からは妊娠中や持病のある人、さらには小さい子供がいる社員で、感染リスクが高い長時間の電車通勤をしている場合なども対象に加えました。

すでに5人ほどが申請を済ませているといいます。

 4歳の娘がいるという、モニターの向こうの女性は…。

女性社員:
「私が感染したら、絶対に娘に感染させてしまう。電車で1時間かけて通勤をしているというところが、ちょっと私的にも結構怖かったというか。在宅で勤務ができるのであれば、それをさせてもらってリスクをなくしていきたいなと。安心感というのもありながら働かせてもらっているのでありがたいです」

 さらに、個室での「10人以上」の会議を自粛。社員食堂で実施していたサラダバーを中止するなど、徹底した対策に踏み切っています。

エイチーム人事部長:
「育児や介護をしている方向けに提供していたサービスというか制度だったんですけども、それを今回の(新型)コロナウイルスの影響も受けて対象を拡大した。働く場所が会社からご自宅になったとしても、特に業務の影響はないと思っております」


 一方、導入が思うようには進まないケースも…。

(リポート)
「午前8時前の愛知県庁です。始業の45分前ですが早くも庁舎に入っていく人たちがいます」


 先週から定時の前後1時間の時差出勤を導入した愛知県庁。定時より早い午前8時前から職員が出勤してきますが…。

Q.新型コロナウイルスの影響ですか?

県職員:
「ではなくて元々これぐらいの時間に出勤しています。(Q.早く帰れるわけではない?)はい、残念ながら…」

別の県職員:
「一応時差勤務の拡大はあるみたいなんですけど、仕事の関係でちょっとそこまでは…」


 と、なかなか運用は難しいようです。在宅勤務も1月から試験的に導入されていましたが、ノートパソコンの支給が進んでいないなど環境が整っておらず、新型コロナウイルスの影響による申請者はゼロです。

愛知県人事課の担当者:
「それぞれの職場で色んな事情があると思いますので、まず業務に支障があっちゃいけませんから、業務に支障がない範囲内で考えてもらうということですね」

 政府が提唱する、職場の感染防止対策。業種や仕事内容、これまでの働き方改革の浸透度合いによって対応に差が出ているようです。