東海地方でも毎日のように感染者が確認されている新型コロナウイルス。特に感染者が増え続けている名古屋市やクルーズ船の感染者を受け入れている岡崎医療センターの現状を取材しました。

 現在、愛知県の感染者は、25日新たに3人に感染が確認され、20人となりました。

愛知県岡崎市の藤田医科大岡崎医療センターは、これまでに116人の感染した乗客や乗員らを受け入れてきましたが、発症した方など搬送するなどして最大で86人の感染者がいました。

 岐阜県では、千葉県の感染者が訪れましたが、感染者はゼロ。三重県で1月に1人感染者が確認されましたが、現在は退院しています。

 また、愛知と岐阜ではクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の感染者を一部受け入れています。

 クルーズ船を除くと、感染者は愛知で連日確認されていて、現時点で退院した2人を含めて20人。2月14日と15日にハワイ旅行後に帰国した夫妻に端を発していて、12人が同じ施設で感染しています。

 この感染者と接触した人を「健康観察対象者」として自治体が経過を追っていて、愛知と名古屋は正確な人数を公表しませんが、名古屋だけが500人以上と突出して多くなっています。

 名古屋市では衛生研究所で遺伝子検査を行い、感染の有無を確認していますが、現状では名古屋市では症状が出た人からしか対応できていません。

 市の衛生研究所では1日に40の検体しか調べることができません。1人検査をするのに粘膜だけでなく痰や血液といった複数の検体を調べるため、1日で十数人から二十人程度しか対応できず、25日までに検査をしたのは83人にとどまっています。

 このため、毎日のように感染者が確認され、健康観察対象者が雪だるま式に増えていて、後手後手に回っているのが現状です。

 名古屋市では、市内の医療機関や大学などに遺伝子検査の協力を呼び掛けることにしていますが、見通しは立っていません。

 ウイルス検査で陽性だったものの、症状が出ていない乗客・乗員らをこれまでに116人を受け入れた藤田医科大岡崎医療センターでは、このうち16人が肺炎の疑いで別の医療機関へ搬送されるなどして、感染者としては86人が施設に残っています。岡崎医療センターでは、感染者をフロアだけでなく部屋も分けて、他者と接触しないようにしているということです。

 ちなみに部屋にはトイレもシャワールームもあります。感染者のいるフロアには出入りする医療スタッフの数を十数人に絞り、感染が広がるリスクを極力低くする工夫をしています。

 26日までに陰性が確認されて退所した人は3人。いずれも施設に入ってから48時間以上後の検査で陰性、さらに12時間以上あけて再検査し、陰性が確認されたケースです。

 藤田医科大によりますと、この基準をクリアした人は実はほかにもいますが、地域に配慮して公共交通機関での移動を認めていません。

 家族に自家用車で迎えに来てもらうなど、他の人と接触しない形での移動手段が確保できた人から退所させています。