東海地方初の、将棋を指しながら食事やお酒を楽しむことができる「将棋バー」が、愛知県名古屋市にオープンしました。店主は将棋漫画の元アシスタントの男性です。

 名古屋市千種区の地下鉄東山線・池下駅から徒歩3分にある「将棋指食処・ハチワンダイningバー」は、2月29日にオープン。

 店内には18席あり、テーブルやカウンターで客同士や店主と将棋を指すことができます。

 店主の稲垣直人さん(46)は、2006年から2014年に週刊ヤングジャンプに連載された将棋マンガ、「ハチワンダイバー」(作者・柴田ヨクサル)の元アシスタント。

 稲垣さんは連載が終了後、出身地の名古屋に戻って飲食店に就職。その後、去年の12月ころから開店に向けた準備を始め、このお店を開業しました。

 稲垣さんがどうしても作りたかったという畳が敷かれた対局室があるほか、お酒には「飛車」や「角行」といった将棋の駒の名前を付けた焼酎も用意しました。

 また、壁には柴田ヨクサルさんから開店祝いとして贈られた、ハチワンダイバーの登場人物の色紙も飾られています。

 稲垣さんの将棋の腕前はアマチュア初段並み。オープンした29日は訪れたお客さんが稲垣さんやほかの客と対局して、81マスの将棋盤に深く「潜り込んで」いました。

 またこの日は、愛知県瀬戸市の高校生棋士・藤井聡太七段の対局が大阪で行われ、インターネットの配信をみながら、集まったお客さん同士で局面を検討する姿もみられました。

 お客さんからは、「名古屋にはこういう場所がなかったので嬉しい」、「対局を見ながら将棋の話をする場所が欲しかった」と歓迎の声があがっています。

「ハチワンダイningバー」のような将棋バーは、東京や大阪にはあるもの、プロを目指していた人が開業しているケースがほとんどで、稲垣さんのような腕前がアマチュアクラスの人が経営するのは珍しいといいます。

 東海地方の将棋バーは、このお店が初めてで、稲垣さんは「初心者でもお酒を飲みながら気軽に将棋を楽しんでほしい」と話しています。

 またオープン前日のサプライズイベントには、人気女流棋士の香川愛生女流三段が駆けつけ、お客さんに詰将棋を出題するなどして交流を深めました。

【補足】漫画「ハチワンダイバー」は、プロ棋士になれなかった青年が真剣師(賭け将棋)との対決を描く2008年フジテレビ系でドラマ化