桜の開花宣言が出されるのは、東海地方でも間もなく。いつもなら楽しみな花見シーズンですが、今年はそういうわけには行かないようです。

 新型コロナウイルスの影響で花見の自粛が求められ、関連イベントも中止が相次ぐ事態に。書き入れ時のはずだった飲食業者などからも悲鳴の声です。

(リポート)
「桜のつぼみがかなりふっくらしてきて、先のあたりがほんのり色づいています。奥にはしっかりと咲いている桜もあります」

 名古屋市きっての桜の名所・鶴舞公園。

 つぼみも色づき始め、お花見シーズンがまもなく始まりますが…。

(リポート)
「入ってすぐのところには看板があります。桜のライトアップの中止、そして飲食などの宴会を控えるよう呼びかけています」

 今年は新型コロナウイルスの影響でライトアップは中止に。飲んだり食べたりの宴会の自粛など呼びかけられています。

 毎年、お花見スポットとして750本ほどのソメイヨシノのもと、多くの人が夜桜を楽しんだり出店が立ち並んだりと大賑わいですが…

 今年はさみしい春となりそうです。

街の人:
「シート引いて。みんなでワイワイ、サークルの友達とかと集まりながら楽しんでいましたけれど。それがなくなっちゃうんですよね。ちょっと悲しい気持ちはありますね」

別の人:
「やっぱ寂しいですけどしょうがないですよね。今頑張らないと」


 今年は東海地方各地で自粛が求められ、桜の季節に合わせたお祭りは軒並み中止に。

 そんな中、名古屋市の河村市長を訪ねたのは、東海地方のイベント運営会社が作る団体です。名古屋城の「桜まつり」をはじめ、市が主催するイベントの開催中止も相次ぐ中、資金面に関する援助を求めました。

河村名古屋市長:
「名古屋市が要請してイベントをやめた分についての補償は、完全にせないかん。当たり前のこと」


 しかし、協会加盟社以外の飲食業者などはその援助も受けられず、経営そのものに大きな影響が出る見込みです。

 和牛ブランド・知多牛を使った分厚いパテをはさんだハンバーガー。

 キッチンカーでイベントに出店する大村憲太郎さん。

 花見の名所・鶴舞公園にも2週間にわたり出店する予定でしたが…。

大村さん:
「これ(スケジュールを表すボード)、3月。バツがうってあるやつが、みんな中止になったイベントですね。今日だけで3件きています、中止が」

 それ以外も、キャンセルを示すバツだらけ。キャンセル分の売り上げを補うため、キッチンカー仲間と協力し、空地を借りて出店するなど対策を取りましたが…。

大村さん:
「3月だけで、売り上げで1000万円予想していたので、それがもう全部なくなっていますね。早く終息を願うのみですね」

仲間:
「鶴舞の花見が、うちでは一番年間では大きいです。ずーっと長期で(イベントが)なくなるっていうのは今まで経験したことがないので、そこがすごく不安ですね」


 大打撃を受けているのは、レンタル業者も…。

 「何でも貸します」でおなじみの近藤産興を取材すると、お花見シーズン、ステージイベント用に貸し出しが多いという組み立て式の舞台や…

 花見客の列を整理するパイロン。

 さらに花見客に需要が多いというゴザは倉庫の奥にしまわれたまま。

近藤産興 近藤副社長:
「(春は)春分の日を境に忙しくなるんですね。お花見もありますし、学校が休みになれば色んな行事もあるしね…そういうのがまるでなくなっちゃいましたね。本当に、見事に無くなりました」


 新型コロナウイルスの影響で、2月から音楽イベントやスポーツの大会はほとんど中止に。

 イベントが中止になった場合、キャンセル料は受け取れず、ここ1カ月で1億円以上の売り上げが無くなったうえ、さらに花見イベントまでも。損失はまだまだ膨らむ計算です。

近藤副社長:
「もうちょっと続くのは覚悟していますね。頭抱えていてもしょうがないので、なんとか乗り切りたいなと」

Q.倉庫の様子も変わっていきますかね?

近藤副社長:
「空になるほどね、なると嬉しいですけどね」


 いつになったら終息するのか…新型コロナウイルスの波紋はまだ広がりそうです。