新型コロナウイルスの影響でイベントの中止や延期が相次ぐ中、日程を変えることができない「お葬式」。密閉された空間に人が集まる葬儀ですが、今そのやり方自体にも変化が出てきています。

 テーブルの上に置かれた消毒液に、来客用のマスク…。

 今や、どこでも見られる光景ですが、ここは葬儀場です。

支配人:
「普段から清掃は徹底しているのですけれども、やっぱりこの時期ですので、アルコール除菌の消毒は普段よりは念入りにやらせていただいております」


 名古屋市中川区にある葬儀場「お別れルーム・旅立ち」。

 一般的な葬儀は窓のない空間で、一定の時間、人が集まることが多く、こちらの葬儀場でも感染防止策を徹底しています。消毒の徹底はこんなところも…。

支配人:
「お寺様が触られるものですとか、テーブル関係、あとはお客様が座る椅子、また水回りですとか」

 木魚や鈴を叩くための棒や、焼香台の回りなどはアルコールを含ませた布で念入りに拭き取ります。

支配人:
「必ず会ごと、お部屋ごとに全部(消毒を)やっております。一日のほとんどは清掃に時間を割いるような感じです」


 さらに、葬儀のやり方そのものにも変化が…。

支配人:
「家族葬にするか、それとも一般の方も呼ぶかって悩んでらっしゃる方も、コロナが蔓延しておりますので、なるべく家族のみ親戚のみということで、(葬儀を)行いたいという方はだいぶ増えてはおります」


 葬儀の参列者の間で万が一にも感染が広がることを避けるため「家族葬」にとどめるケースが増えているのです。

支配人:
「(葬儀場に)来られるまでにいろいろ公共交通機関を使ったりですとか、例えば火葬場の方に一緒に行かないといけないということで、いろんな方と接する機会がどうしても出てくるので、ご年配の方の場合はそういったのを懸念される場合もあるとは思います」

 感染を懸念しての家族葬の増加。一方で、葬儀そのものを行わないというというケースも…。

 インターネットなどで葬儀場の仲介をしている会社では…。

広報担当者:
「火葬式と呼ばれるお通夜も告別式もしないお式に関しましては、通常に比べて1割ほど増加しているような状況になっています。コロナが気になる時期には小規模な最小限の規模でお式を挙げていただきまして、そのあと改めて多くの方を呼んでお別れの場を設けていただくというご支援できれば」


 最後のお別れを感染が終息した後に行う「後葬」。3月から始めましたが、問い合わせが相次いでいるということです。

 また、中止や延期が大きな影響を与えると言えば…。

(リポート)
「コロナウイルスは司法の場にも影響を与え、傍聴席の間隔をあけるなど対策がとられています」


 3月4日、名古屋地方裁判所では裁判員として出席する予定だった人が体調不良を訴え、裁判が延期される事態に…。

 この裁判員は感染していませんでしたが、岐阜や三重でも同様に感染拡大防止を理由に延期される裁判があり、法廷での対策が求められていました。

 不特定多数の傍聴人が集まることが想定される法廷は、隣り合う席の間隔が狭く、さらに密閉された空間です。

 このため、愛知県内のすべての裁判所では、3月12日から傍聴できる人の数を法廷の規模に合わせて制限。傍聴席は前後左右をそれぞれ2席あけて、およそ1mの間隔をあけるようにしました。

 裁判官や被告人、さらには弁護人や検察官にもマスクの着用を要請し、法廷から感染者が出ないように対策を進めています。