新型コロナウイルスの影響で、外出は控えてなるべく家で過ごしているという人が多いと思いますが、そうなると「外食」も自粛ムードが続いています。

 そんな中、お店の味を家庭に届けようと、名古屋市中区の飲食店が集まって、1日限りの特製弁当を販売しました。

 鴨肉とフォアグラをパテにした高級フレンチに…。

 日本酒を使って仕上げた「豚の角煮」。

 そして、ミシュランガイド東海版3つ星の日本料理店「土方」から、皇室御用達の「寒熟いちご」も。

 名古屋市中区の飲食店が集まり、和洋折衷、豪華に詰め込んだお弁当です。

シェフ・飛矢和行さん:
「コロナの状況でなかなかお店に来ていただけないものですから、いろんなお店の味を、9店舗の味を家で味わっていただいて」


 発案者の1人、フランス料理店「ル・ポンデュガール」のオーナーシェフ・築舘幸伸さん。

築舘さん:
「店に来てくださいということも言えないし、今の状況だと。家でお料理作るのも飽き飽きしてるってわけじゃないと思うけど、お料理作るのを1食休めたりできれば」

 なかなか外食ができないこのご時世、お店の味を家庭でも楽しんでほしいとここでしか作れない弁当作りを考えました。

築舘さん:
「(丸の内地区は)徳川家康の時代から碁盤の目の区画割りで、そこにお店がポンポンって入ってくるみたいに考えると面白いなと思って。それで幕の内弁当じゃなくて『丸の内弁当』って」


 お店がある丸の内3丁目とその近辺のお店に声をかけ、ミシュランプレートを獲得した高級寿司店「あま木」や、400年の歴史を持つ老舗料亭「河文」など、9つの飲食店が参加することに。

 それぞれの特徴を生かした一品を持ち寄り、幕の内ならぬ「丸の内弁当」を100個限定で作ろうというのです。

築舘さん:
「”鴨とフォアグラ”、メインでもそうなんですけど、よく使う食材なので」


 築舘さんのお店では、コース料理の前菜の定番という、高級食材「シャラン鴨」と「フォアグラ」を使ったパテを入れることに決めました。

 一方、参加する飲食店の中には、コロナウイルスの影響を大きく受けたお店も。

シェフ・飛矢和行さん:
「(3月)26日ですね。これも貸し切りがすべてキャンセルで」


 イタリア料理店では、2月から今月にかけて、週末の団体客を中心に、予約のキャンセルが相次ぎました。そんな中、今回、弁当作りの話が舞い込んできました。

飛矢さん:
「お客様においしいものをお届けして、家で楽しんでいただこうと。鹿児島県産の黒毛和牛のペンネですね。ペンネが一番伸びないもんですから、冷めてもおいしいですし温めてもおいしいと」

 黒毛和牛を100%使った「ミートソースのペンネ」、本格イタリアンで弁当の一角を飾ります。

 丸の内の街と同じ碁盤の目のように、9等分された弁当箱に食材を詰めていきます。

 完成した「丸の内」弁当は、築舘さんの「シャラン鴨とフォアグラのパテ」。

 それから飛矢さんの「黒毛和牛100%使ったミートソースのペンネ」をはじめ…。

 本格中華料理店「ジョーズ・キッチン」からは、名古屋コーチンを自家製ラー油と黒酢で調理したスパイシーな一品。

 老舗料亭「河文」は、筍ご飯と桜えびのご飯の2種類にうなぎの佃煮を乗せました。

 そしてデザートには、ミシュランガイド3つ星、「土方」から大ぶりの「寒熟いちご」を。

 和洋折衷、ふんだんに盛り込まれた、豪華な弁当。

 お値段は1万円でしたが、この日限り100個限定の予約販売でしたが、即完売となりました。

買った人女性:
「(飲食店は)絶対大変だと思いますもんね。これは応援しなきゃって思って、自分も自炊がずっと続いていて、なんかもう疲れちゃったなっていうのもあって」


 買ってすぐ、行きつけのイタリア料理店で食べる夫婦も。

妻:「おいしい」

夫:
「知らないお店も味わえたような気もするし素晴らしい企画だよね」


 9つの飲食店が結集した「丸の内弁当」。お客さんは食べて満足、お店同士も交流の輪が広がりました。

築舘さん:
「いまの状態がずっと続くのは嫌ですけど、これがきっかけで(他のお店と)お弁当の盛り合わせとかできたので、こういうのは何らかの形で続けていけたらいいなと思います」