※取材しているのは感染者が出た保育園ではありません

 懸念されていたことがまた一つ、現実に起きてしまいました。名古屋市は、10日に市立保育園の保育士が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。

 そして12日、その保育園の園児も感染していることが判明し。13日には同僚の保育士の感染も確認されました。感染拡大は保育の現場に緊張を走らせ。大きな負担となっています。

 名古屋市中村区にある別の保育園。
※感染者が出た保育園ではありません

 13日も0歳から6歳までの園児およそ170人が登園しました。働く親にとって頼みの綱の保育園ですが、ついに恐れていた事態が起きてしまいました。

保護者:
「感染がすごく身近になってきているので、とうとうそっちも来ちゃったかなっていう怖さとしては実感していますね。保育士さんに限らず、どこの誰がかかっても今はおかしくないと思っているので」


 感染が身近になってきている…。小さな子を持つ親は不安を口にしていました。

 名古屋市によりますと、40代の女性保育士が陽性だと判明したのは4月10日。実は、その2日前の8日に50代の夫の感染が確認されていました。

 女性保育士は夫に発熱などの症状が出たため、夫の感染が確認される前の7日からは保育園を休んでいました。

 保育士の感染が判明したことから、市は同僚や園児らの健康観察を開始。12日になって保育士と接触があった園児の男の子の感染が確認されました。さらに、13日になって同僚の50代女性保育士の感染も判明。この保育士は4月9日まで勤務していました。

 名古屋市はこの園を4月24日まで休園としましたが、他にも体調不良を訴える保育士や園児がいるということで、感染の拡がりが懸念されます。

 保育の現場に広がった新型コロナウィルス。

 感染が確認された保育園とは別の保育園でも、感染拡大への見えない緊張が毎日続いていました。

 登園するとまず確認するのが体温。37度5分未満かチェックします。

さらに、教室に入る前にはアルコールで消毒。細心の注意を払っていますが、保護者の不安は募るばかりです。

保護者:
「(感染流行の)ピークはまだ来てないと思うので、そのうちこの園でかかる子もいるのかなって覚悟はして過ごしています」


 この保育園に通う園児の数はおよそ270人ですが、このうち100人ほどが欠席しているといいます。

『3つの密』を避けるため、晴れた日は外遊びを中心としていますが、雨の時は教室の窓を開け、換気をするようにしています。

園長:
「抱っことかおんぶしたり、密になることが多いので、本当に先生が感染したら絶対(接触した)その子にはうつるだろうなと」

 保育の現場で感染が確認されたことを受けて、名古屋市は先週末、保護者に向けて「できる限り家庭での保育」を求める通達を出しました。

 しかし、共働きなどで無理なケースもあり、市も手探りの対応が続いています。

河村名古屋市長:
「なるべく保育園に行かせずに、自宅でと、お願いできんかと。できる人はという意味ですよ。保育園を休業してもらうというのは、よほどお母ちゃんたち声を聞いてしかるべくきちんとフォローをしてあげないと。大変残酷なんじゃないの、それ」


 一方で、保育園側は…。

園長:
「うちがもし集団感染したら、ものすごい人数が出ちゃうので。コロナウイルスにかかって命を落とすことになったら責任がとれないし、どうしようかなという思いもありますけど、いま私たちのできることをきちんとやるしかないかなと思っています」


 一向に終息する気配が見えない新型コロナウイルス。保育現場の対応の難しさが浮き彫りになっています。