新型コロナウイルスで集団感染が発生した業種、「スポーツジム」や「カラオケ店」は、愛知県と岐阜県では休業要請が継続していますが、三重県では先週末、パチンコ店などこのほかの業種も含めて全て解除されました。

 解除の条件として三重県が求めたのが、感染防止対策を徹底した「新しい営業スタイル」です。利用を控えるよう呼びかけは続く中、店側は戸惑いながら営業を再開しています。

 16日土曜日、休業要請の解除を受けて、1か月ぶりに営業を再開したカラオケバーで熱唱する店主、中原弘貴さん(41)。

 三重県四日市で、カラオケバーやライブハウス、カラオケ喫茶を経営しています。

 実は中原さん、“マック中原”の名前で地元で活動する歌手です。そんな中原さんに一曲お願いしました。

マック中原さん(歌):
「会えない日々が切なさ募らせても 私負けないよ 今は夢だけ追いかけてOK!」


 曲のタイトルは「OK!」。“夢だけ追いかけてOK”が中原さんの今の心境です。

 中原さんの店は、三重県からの要請を受けて3店舗とも臨時休業してきました。そのうえ、タレント活動もキャンセルが相次いだといいます。

マック中原さん:
「自分自身がタレント活動をしている部分でも、オールキャンセル。会社の事業が全部、引っかかった」


 収入は、去年と比べて9割減に。

 限界を感じる中で、待ちに待った休業要請の解除。しかし…。

鈴木英敬三重県知事(14日の会見):
「(全業種に)休業要請は我々はしません。(カラオケ店など)過去にクラスターがあったようなところや、3密を回避できない場所の利用は自粛してください」


 鈴木知事は、県民に対して利用を控えるようお願いする一方で、業界に対しては、“3密対策”を徹底して行うことを条件に休業要請を解除。

 アクセルとブレーキを同時に踏むような対応に、中原さんは戸惑いました。

マック中原さん:
「気が気じゃない感じで営業再開でした」


 結局、中原さんは迷った末に、お客との間隔をとり、マイクは使うたびに消毒するなど、「新しいスタイル」で営業を再開しましたが、当面は週末だけの営業にとどめています。

 戸惑いは、スポーツクラブでも…。

オリンピアスポーツクラブのマネージャー:
「一概に『スポーツクラブ=危険な場所』、みたいな発信をされていることが、一番の問題点」


 衝立で仕切られたランニングマシン。バイクの前には透明なビニールシート。三重県四日市市にあるスポーツクラブです。

 およそ1か月の休業を経て、16日に営業を再開しました。スポーツジムは過去に「クラスター」が発生したとして、愛知と岐阜では休業要請が続いていますが、三重県では解除されました。

利用者:
「やっぱりいいですね。汗の出方が違う。いくら家でもやってもだめで、マシンでやると筋肉の動きが違うもんだから」

 入口でフェイスガードをつけたスタッフが検温するなど、「新しい営業スタイル」で再スタートです。

マネージャー:
「お客さまの笑顔を久しぶりに見ることができて、ほっとしている」


 名古屋で集団感染が発生した2月下旬以降、全体の2割ほどの人が退会し、会員数が劇的に減ってしまいました。さらに、施設の維持費や人件費などもかかり、何もしなくても1日100万円以上の経費が必要で、ジムは経営の危機に直面していました。

 待ち望んだ休業要請の解除。マネージャーは、徹底した感染防止対策を保健所とも相談しながらスタッフ全員で考えました。

 トレーニングマシンの数を半分に減らして間隔をあけ、飛沫予防の「シート」を設置。

 ランニングマシンも、飛沫を防ぐため「ついたて」で囲みました。

 また、ヨガやエアロビなどのスタジオを当面、オンラインで行うことに。

 室内の清掃や消毒も徹底し、2時間ごとに「除菌タイム」を設け、スタッフが器具や更衣室を一斉消毒。

 大量の消毒液を自前で作るための設備も新たに購入しました。徹底した対策に利用者は…。

利用者:
「結構、消毒しまくって。一番、環境的に良いんじゃないかな」

マネージャー:
「最大限努力をして、(利用者を)支えていきたいなと思います」


 徹底した感染対策を講じる「新しいスタイル」の実践。手探りで進む日が続きます。