新型コロナウイルスの感染を防ぐために必要な、医療用ガウンにフェイスシールド、そしてマスク。不足しているこれらをいま、専門外の企業が開発を始めています。

 名古屋市中村区にあるカワシマ株式会社。新車を納車する際にかぶせられているシートカバーや、自動車のドアの内部に使われるフィルムカバーを手掛けます。

 その会社が4月から手掛けているのが、医療従事者を飛沫感染から防ぐ「医療用のガウン」です。

 薄さはわずか0.04ミリ。色は緊張感を和らげる効果があるとされる青にしました。首元にミシン目を入れて、使用後、そこから破って丸めるように脱ぐことで、ウイルスが付着しているかもしれない表面を触るリスクを減らしました。

カワシマの川島社長:
「医療現場でガウンが不足をしていて、一般に売られているゴミ袋を自分たちで切ったりして使っている報道を見てですね、この形状だったらウチでも、大きな設備投資をしなくても作れると分かった」


 新型コロナウイルスの影響で新車の売れ行きが半減し、それに伴いシートカバーの需要も減ったため、社長の川島さんが空いた設備で医療ガウンの製造を発案しました。

 ガウン用のシートを、シートカバーを作る機械にセットして、熱で溶着してつくります。

 加工する形が違うだけで、日ごろ製造するシートカバーと作業工程は変わりません。しかし、ウイルスをしっかりシャットアウトするよう、溶着には神経をとがらせます。4月に愛知県と名古屋市に1万枚ずつ寄贈し、今後も製造を続けます。

 一方、岐阜市のベビーカーのメーカー「キュリオ」は…。

 社長の高橋さんが、医療現場にフェイスシールドが不足していることを知り、製造を始めました。

キュリオの高橋社長:
「製造にあたっては、ベビーカーで付き合いのある地元のネットワークは大いに役に立っています。具体的には、組み立て作業はベビーカーのシートを作っている会社さんにお願いをしております」


 シールド部分は関市などのプラスチック加工メーカーに、スポンジは埼玉のメーカー、そして、組み立てはベビーカーのシートを製造する会社などに依頼しました。

 日頃の仕事関係を生かして生産体制を構築。思い立ってから、わずか10日で製品化できたといいます。

 現在、1週間に1万枚ペースで製造し、全国の医療機関に納品されています。

 さらに、こちら岐阜県可児市の「スパリゾート・湯の華アイランド広場」では、産直市場に野菜や肉と並んで、手作りマスクが売られていました。シンプルな無地から花柄まで、種類豊富です。

 湯の華アイランドといえば、スーパー銭湯「湯の華温泉」を中心とした人気の施設ですが、新型コロナウイルスの影響で、4月半ばからスーパー銭湯を休業した間に従業員がマスクを制作し、販売しました。

湯の華アイランド広場の担当者:
「市場で地域住民や買い物に来られるお客さまが、普通のマスクが手に入らないという状況で、洗える布マスクが販売されれば助かるという声をお客さまから頂いたので、始めさせていただきました」

 客からのマスクを求める声と、従業員の働き口を提供する目的で始め、この日は8人のスタッフで、60個のマスクを作りました。手に取った人に聞くと…。

買い物客:
「私も買ってきた。ベージュとかのを買っています。おしゃれでホントに素敵です」

湯の華アイランド広場の担当者:
「(マスクづくりは)従業員の人件費と材料費をとると赤字になりますが、それでも喜んでくれるお客様と、従業員が働けるところがあるということで、今後も(マスク販売を)続けていきたいなと思っております」