東海3県では6月1日から観光を含む、県をまたいだ移動の自粛が解除されました。

 伊勢神宮前の「おはらい町」や犬山城など、「営業を再開」した各地の観光地では、「自粛解除」を歓迎する声がある一方で、課題にも直面していました。

 伊勢神宮の内宮前。1日、県外から参拝に訪れる人の姿が見られました。

知立市から来た男性:
「コロナが無くなるようにと、家族の健康を」

名古屋市から来た女性:
「きょう、来られたことに、まず感謝です。2か月ぶりかな」

 伊勢神宮の内宮前にある「おはらい町」も、およそ8割の店が営業を再開していました。

店の人:
「本当は、全国的に来るともっといいけどね」

別の店の人:
「東海3県、近い方なので安心して来ていただけるのかなと思っています」


 5月31日、愛知・岐阜・三重の知事が会議を開き、6月1日から東海3県に限って、県をまたぐ移動の自粛を解除。

政府が、6月19日から徐々に再開するよう求めている「県外観光」を、東海3県は前倒しで解除しました。

 自粛中の5月6日には、ほとんど観光客がいなかった「おはらい町」。

 通常時の3割ほどではありますが、人出が戻ってきました。

 4月17日から臨時休業をしていた「赤福」。

 店内で飲食できる喫茶コーナーは当面休業を続けますが、1日、営業を再開しました。

 おはらい町の別の店では、「AI」を使った最新対策も。伊勢名物の「手こね寿司」を味わえる「ゑびや大食堂」。

 店の前の通行人の数から来客数を予測するAIシステムを、新たに開発。

 客のデータから、通行人の3.5%が来店するという独自の数値をはじき出し、AIが混雑する時間帯を予測しています。

ゑびや大食堂の支配人:
「11時から閉店までの流れが、“予報”として表示されるようになっています。本日11時台は、40%以内のお客様がご来店される予報となっております。3密を、時間帯で避けられるようになっています」


 店側だけでなく、客も事前に混雑する時間帯を把握できるため、分散して店を訪れることができるといいます。

四日市市からの来店客:
「スペースが空いているから、ゆっくりと食べられるし、すごくコロナ関係も考えてもらってるんやなぁと」


 一方、 愛知県の「南知多ビーチランド」。およそ1か月前に始まる予定だった、開園40周年のイベントが5月31日、ようやくスタート。

 ショーの座席には、間隔を空けて座るよう×印をつけて、密集しないよう対策。

 さらに、動物と触れ合えるイベントが人気でしたが、直接触らないようエサやり体験に変更。参加者も先着順に限定し、子どもたちが集まらないよう対策をしていました。

 また愛知県の「国宝・犬山城」も営業を再開。

 犬山市のキャラクター「わん丸君」も、マスク姿で観光客を出迎えました。

 城のなかは、すべての階に消毒液が置かれ、「3密」を避けるために通路は一方通行に。

 そして城下町では、犬山城の再開で、わずかですが賑わいが戻ってきました。

飲食店の店長:
「半分心配で、半分期待しています。人が来過ぎたら怖いな、というのはあるんですけど」

犬山市観光協会 中田哲夫専務理事:
「非常にありがたいです。犬山城から少し行くと岐阜県なんです。そうすると、県をまたがない移動(での観光)というのは、犬山城では考えられないんですよ」


 東海3県に限られてはいるものの、「県外観光」の解禁に歓迎の声が聞かれました。

 岐阜県白川村の世界遺産「合掌造り集落」も観光客の受け入れを再開。

 合掌造りを集めた施設では、2カ月近く休業していた間にたまった埃を掃除。

 記念撮影用の看板も、日付を付け替えました。

 白川村は、高山市などと合同で、ゴールデンウィーク中に、観光の自粛を要請。特に白川村は、駐車場や施設をすべて閉鎖。5月31日まで事実上、村を封鎖していました。

 「営業再開」で、多くの集客を期待していますが、訪れた観光客は…。

千葉からの観光客:
「千葉から来ました」

京都からの観光客:
「京都です。やっぱり、まだ人が少ないということで、見やすくはなっているんですけど」


 東海3県以外からの観光客がほとんどでした。

合掌造り民家園の園長:
「営業されている皆さんも、どのような方が来られるかというのはわからないものですから、それについては不安に感じながら再開したというのは、正直な気持ちです」

 新型コロナウイルスに警戒しながら、賑わいを取り戻す。今後も模索は続きそうです。