新型コロナウイルスの緊急経済対策で、1人10万円が支給される特別定額給付金は、すでに9割以上配り終えた自治体がある一方、なかなか支給が進まないところも。

自治体によって大きな差が出始めています。

 10万円の給付金について既に受け取ったかどうか街で聞きました。

名東区の女性:
「まだ全然、申請書も来てないです。税金を払っているので、いざという時には本当に恩恵を受けたいなというのが実情です」

千種区の男性:
「何やってるんだか知らないけど、相当遅れてますね」

千種区の夫婦:
「うちの息子のところがね、日進市ですけど、あそこはもう来てるんですよ。千種区は来てない。(日進市は)貰ったって言いました、息子はね」

 11日に名古屋市民に聞いたところ、10組中9組がまだ申請書すら届いていないと答えました。実は、名古屋市が11日までに給付金を支給できたのは、およそ113万5千世帯のうち2万8000世帯あまり。僅か2.5%です。

名古屋市内のビルの一室にある、給付金の入金処理をする臨時の事務所。

ひっきりなしに電話がかかってきます。

電話を受けた女性:
「郵送の申請書につきましては、まだ一部の世帯にしか届いていないという状況でして…。大変お時間をいただいておりまして、申し訳ございません」


多くは申請書類がいつ届くのかという問い合わせ。中には厳しい叱責も…。

名古屋市区政課の担当者:
「当然のお怒りかなと思うんですけれども、私どもがいつまでにあなた様の元に届きますということを、具体的になかなかお伝え出来ない」


 名古屋市で給付がなかなか進まない理由は…?

名古屋市区政課の担当者:
「給付ですとか申請書の作成ですとか、そういったところのシステムを構築していました。5月の初めからシステムを構築しまして、およそ3週間程度、時間を要したというところでございます」


 およそ113万5000世帯と対象が多いこともあり、業者に委託していたシステム開発に時間がかかったのが大きな原因だといいます。

申請書類が発送できるようになったのは5月25日からで、今週末にはおよそ半数、来週末にはほぼ全ての世帯に届くそうです。申請してから2~3週間で支給できるということです。

 一方、独自の取り組みで給付を早めた自治体もあります。

大府市総務課の担当者:
「こちらが既に審査を終えて振り込みが終了している方々の申請書のファイルです。9割くらいの方々の給付、振り込みが終わっている状況です」

11日までに87.8%の世帯に支給が終わっている愛知県大府市。その訳は…。

大府市総務課の担当者:
「システムを外に委託するのではなくて、職員が開発することで、迅速に事務を進めることができました」


名古屋市では業者に委託し、およそ3週間かかったというシステム開発。それを市の職員がひとりで手がけたといいます。開発したのは、新美清和係長。いったいどんなシステムを?

大府市情報システム係の新美係長:
「バーコードを読み取ると、ここに数字が入るので、その数字をもとに世帯主の情報が表示されます」


ポイントは申請書についたこの「バーコード」。住基ネットと連動していて、読み取るだけで申請者の情報が簡単に探し出すことができます。氏名を打ち込む手間が省け、ミスもありません。

「自前」ゆえ、システム改修が手軽にできるのも早い給付につながりました。こうした努力に、市民から感謝のメッセージが寄せられています。

県庁所在地ながら給付率が90パーセントを超えている三重県津市。その理由は「人海戦術」です。

津市市民部の担当者:
「本部の人間12人プラス、その日の到達状況によって20人までの範囲内で、その日必要な人数に助けに来ていただいている。最大時は218名の体制で」


とにかく「スピード」にこだわり、ゴールデンウイーク返上で作業にあたりました。多い時期には200人を超えた職員の中には…。

津市市民部の奥田担当理事:
「給食を中止していた時もありまして、給食調理員さん、それからボートレース事業部の方も停止していましたので、ボートレースの事業部の警備員さんとかのお手伝いもありました」

新型コロナで仕事ができなくなった職員たちを総動員、まさに「オール津」で対応。支給の進み具合に大きな開きが出ている特別定額給付金。自治体の、緊急事態への柔軟な対応力が試されています。