6月19日から移動自粛の要請が全面解除となりました。観光地の賑わいは今…。直後の日曜日に岐阜県の観光地、飛騨高山を取材しました。

■賑わい取り戻す岐阜の観光地・高山市 店も観光客も増

 東海地方を代表する観光地、岐阜県高山市。

都道府県をまたぐ移動の自粛要請が全面解除され、初めての日曜日となる6月21日は大勢の観光客で賑わっていました。3月の様子と比べてみると、随分な変わりようです。

 午前9時。宮川沿いに立つ「宮川朝市」へ。

露店には、高山名物の赤かぶ漬けや、旬のサクランボなどが並びます。

新型コロナウイルスの影響が出る前は、40軒ほどが並んでいましたが、この日は15軒だけの出店です。

それでも…。

出店者の女性:
「昨日から朝市もこんなに人が出るようになったの。こっちの出店者も」

別の出店者の女性:
「でも外国人さんは全然みえないので。前は朝のうちは8割ぐらい外国人さんだったの、コロナの前は。今は日本の人ばっかり。でも団体さんじゃなくて、若い2人連れが多いね」


 都道府県をまたぐ移動の自粛要請が全面解除されたのは6月19日の金曜日。

そのため、その翌日の20日土曜日から店も、買い物客も増えたようです。

■外国人客が消え賑わいはまだ「平日程度」

 午前11時。続いて、「古い町並み」へ。こちらも大勢の観光客の姿がありました。飛騨牛のにぎり寿司の店には行列ができていて、富山県立山市や愛知県豊田市からなど、県外からの観光客もいました。

観光客に人気の団子店では、外国人向けのメニュー表も出していますがその姿はありません。

確かに賑わいはかなり戻っていましたが、地元の人たちからすると以前の平日程度とのこと。賑わいを支えていた外国人観光客を当面、見込むこともできず、まだまだ心の底から喜べる状態ではないと言います。

 また、お店の人の中には「商売しているのでお客さん来てもらわないとだめですけど、病気的には怖い、まだちょっと心配はあります」と話す人もいました。

観光客が戻ってくることは嬉しい反面、コロナへの心配は拭えない複雑な心境です。

■地元の魅力を“再発見”…市民対象にした人力車の「無料乗車体験」

 正午。古い町並みを走る人力車を見つけました。以前そのままの光景に見えますが、実はちょっと違うそうです。

4月初旬から休業を余儀なくされていましたが、6月から期間限定で、高山市民を対象に「無料乗車体験」を始めました。

宮川沿いを駆け足でくだり、心地よい風を感じながら、観光名所「古い町並み」も巡ります。少し高い場所から見ると、いつもの風景がまた違って見えるそうです。

通常は2人で4000円のところを無料に。

 始めた理由は、「市民を元気付けたい」という思いと、休業中に落ちた体力を取り戻すための試運転だといいます。

実際、利用した市民からも「目線が違って普段見えないところが見えて気持ちがいい」や、「車夫さんとの話で改めて地元の良さを知ることができてよかった」と好評です。

乗車体験した高山市民は、これまでにおよそ920人(6/25現在)。7月中には通常営業に戻す予定です。

■地元の人が頻繁に…人気ハンバーガー店「忙しくて忘れかけていたものあった」

 そしてもう一軒、特に外国人観光客に人気があった店を訪ねました。和風の構えですが、ハンバーガー店です。

一番人気は「ベーコンチーズバーガー」。

厚みのあるビーフのパテに、とろりとしたチェダーチーズ、スモーキーなベーコンを特製のバンズで挟んだ本格的なものです。

新型コロナウイルスの影響が出る前は口コミで人気が広がり、客の半数が外国人観光客だったと言います。

オーナーの男性:
「多いと7割近くとかが外国人の方という日もざらにある、なので今言った割合が、ごっそり売上がなくなっている状況ですね、日によっては7割、8割」

  
 4月下旬から休業し、5月はテイクアウトのみの営業でした。すると、最も苦しい時、地域の人たちが利用してくれたそうです。

オーナーの男性:
「地元の方がテイクアウトに頻繁に来てくれて、なんとか今までつないでこれたのかなという状況があるんですよね」


この日も、観光客に混じって近所の人がいました。

地元の女性客:
「本当に一生懸命やっているので、応援もしたいし自分も食べたい」

オーナーの男性:
「観光客の方を相手に忙しくて忙しくて、心の中で忘れかけていたものもあったので、苦しい時にやっぱり近くにいらっしゃる方とか、ご近所の方とかに来ていただいて、いろんなお話をさせていただいたり、応援していますという声をいただいたので、ありがたいばかりですね、感謝しかないですね」

改めて地元の人たちとの絆を強く感じたようです。