去年7月、愛知県美浜町で自宅にいた当時小学2年の7歳の女の子が何者かに殴られ、意識不明の重体となった事件から25日で1年を迎えます。

 女の子は奇跡的に学校に通えるまで回復しましたが、今も犯人の逮捕には至っていません。一日も早い事件の解決を望む両親が、今の苦しい胸の内を語りました。

■海沿いの町で起きた事件…買い物から戻った母親の目に “血を流して倒れた愛娘”

 戸田直行さん(56)。去年7月、自宅で愛娘が突如、殺人未遂事件の被害者となりました。愛知県美浜町。海沿いのこの町で戸田さんは妻と小学3年の長女の3人で暮らしています。

 夏休みに入ったばかりの去年7月25日、事件は起きました。

戸田直行さん:
「現場がこの部屋で、子供がここに横たわっていて、この辺に血の跡があったという状況ですね。無抵抗の7歳の女の子に対して、本当に命を奪うということを完全に狙った卑劣極まりない凶行であって」

 この日、長女を自宅に残し買い物に出かけていた戸田さんの妻。正午過ぎに自宅へ戻ると、目に飛び込んできたのは信じがたい光景でした。

戸田さんの妻:
「足元を見たら子供が倒れていたという状況です。直径30センチくらいの血痕がありました」


頭から血を流し、意識がない長女。椅子も倒れていたため、気が動転した妻は「子供が椅子から落ちて頭をケガした」と消防に通報。

病院での医師の診断は「頭蓋骨の陥没骨折」。顔や体にも複数の打撲痕があり、何者かに殴打されたことが分かり、事故ではなく「事件」と発覚しました。

戸田さん:
「夫婦そろって最初、事件性は全然想像できなかったです。後で聞いたら(犯人は)3キロもの鈍器でですね、5,6回は振り下ろしていると。無抵抗の7歳の女の子に対して」


■娘は奇跡的に回復…警察は事件から1年を前に犯人と“同じ種類”のサンダルを公開

 これは犯人が履いていたとみられる同じ種類のサンダルです。サイズは22センチですが、戸田さんの家族にこのサイズのサンダルを持っている人はいません。

戸田さん:
「土足ですね。家に入って、寝室に一直線に来ているという足跡が、犯人のものであると」

 警察によると、このサンダルの足跡が犯行現場となった寝室や2階の廊下などで見つかりました。当時、無施錠だった住宅に何者かが侵入し、無抵抗の長女を襲ったとみられています。

部屋には長女の勉強机やテレビなどが置いてありましたが、今はありません。

戸田さん:
「子供が殺されかけた場所に戻ってくることが、果たしていいのだろうかと。フラッシュバックが起きたり、パニックになったりということも心配しまして、いったんすべて整理をして物がない状況ですね」


 奇跡的な回復を遂げ、去年11月に退院した長女。自宅に戻ることはできましたが、この部屋を使うことはもうありません。そして、長女が意識を取り戻したことで捜査も進むかと思われていましたが…。

戸田直行さん:
「はっきりした記憶は、どうやら今のところなさそうですね。『知らんな』とか(言ったりして)、なんか触れたくない気配ですね」


■ネット上には「母親犯人説」など事実無根の情報…今も続く夫婦の苦しみ

 退院後、家族は日常を取り戻しつつありました。しかし、夫婦が今も苦しんでいることがあります。

<インターネットの書き込み>
「虐待を受けていた傷跡か」
「タバコによる火傷の痕」


 インターネット上に今も残る、事件についての書き込み。「母親が犯人説」など、事実無根の情報が飛び交っていました。

戸田さんの妻:
「子供が生きるか死ぬかの瀬戸際にいて、そんなことが書かれているということに対して、悲しくもあり腹立たしくもありました」

戸田さん:
「それを信じる人も中にはいたりですね、非常に不利益を被ったことは確かです」


 愛知県警半田署では22日、情報提供を呼びかけるチラシを来訪者に配布。事件から25日で1年、今も犯人検挙には至っていません。

戸田直行さん:
「娘もこれから大人になり、しっかりと生きていくうえで、未解決のままだと暮らしていきにくいと思いますし。我々も犯人逮捕が現実として起きなければですね、晴れた気持ちにもなれない」

「(犯人には)人の心が残っているのであれば、反省して自首してもらいたいと思いますね」