将棋の藤井聡太棋聖は20日、福岡市で王位戦第四局に臨みました。7月から始まった七番勝負で木村一基王位を4連勝で破り、史上最年少の二冠獲得を成し遂げました。

第四局2日目の20日は、藤井棋聖の封じ手が明かされるところから再開しましたが、この手がまたしても「衝撃の一手」になりました。

(リポート)
「午前8時20分。たったいま、藤井棋聖が能楽堂前に到着しました」

対局の舞台となる能楽堂に現れた、藤井聡太棋聖(18)。入口には、一目姿を見ようと朝から大勢の人が…。

訪れた女性:
「いま急いで来てみたら、すぐお目にかかれたのでびっくりしました」

訪れた男性:
「近くで同じ空気を吸えてうれしいという感じです」

別の男性:
「着物姿で来ていましたよね。貫禄が出てきましたね」


王位の座をかけ、「中年の星」木村一基王位(47)にここまで3連勝。

藤井棋聖は、この日の対局に勝てば、史上最年少でのダブルタイトル獲得、八段昇段となります。

 2日目は、藤井棋聖の次の一手を紙に書き留めた「封じ手」が開封されるところから始まりましたが、この封じ手がまたしても、常識外の一手となりました。

19日の対局。午後6時となり、封じ手の時間を迎えた藤井棋聖。

この時点での局面は、藤井棋聖の飛車が木村王位の銀に取られそうになっています。通常であれば、次の一手は飛車を逃がしますが…。

解説者:
「2六飛車だと思いますよ、さすがに…。(藤井棋聖が)お茶を飲んだということは…ルーティンだから、封じ手前もお茶を飲む?…違う、さらに考える」

なぜかここで、30分以上の長考に。

解説者:
「ここで考えられていること自体が、もう不気味すぎるんですよ。いま(木村王位が)背筋を伸ばしていますけど、心中穏やかではないはずですよ。(AI予想で)えっ!?同飛車成が最善手なの、これ?」

聞き手:
「そうなんですか、2六飛車じゃないんですね」


大事な駒である飛車を捨ててまで、相手陣地に攻め込む戦法はハイリスク。普通はまず検討しない一手とあって、解説者もざわつきます。

解説者:
「疲れました、将棋考えるの…。木村さんもカド番でこんな局面で考えられたら嫌になるね。同飛車成の可能性があると気づいたら、寝れなくなりますよ」

そして20日、明かされた封じ手は…。

立会人:
「封じ手は藤井棋聖、8七同飛成」

解説者:
「やっぱり同飛車成でしたか。期待通りの封じ手という気がしますね。これは面白いことになりましたよ」

藤井棋聖は「常識外の一手」を選択。タイトル獲得への大一番、積極的な姿勢を見せます。

 熱戦が続くなか、時刻は正午に…。

(リポート)
「たった今、藤井棋聖らの将棋メシが到着しました。藤井棋聖らが宿泊しているホテル特製のランチです」


ホテルのスタッフが足早に運んだ将棋メシは前日に続き地元グルメ。藤井棋聖が福岡産の高菜ピラフ。

木村王位は、福岡のブランド豚・糸島ポークカツカレーのライス少なめと、2人ともご飯ものを選びました。

 昼食が終わり、2人は午後の対局へ…。ちょうどその頃、1人の男性が能楽堂を訪れていました。普段は福岡将棋会館の館長をしていて、子供たちに将棋を教えている関口武史指導棋士(40)です。この関口さん、実は…。

関口指導棋士:
「縁をたどれば師匠の師匠が一緒という、大一門になりますね。いとこ弟子ですね。私も藤井先生のお師匠さんの杉本先生にはかなり将棋を教えていただいたり、お世話になりました」


師匠の師匠は、同じ板谷進九段。愛知からおよそ800km離れた福岡にも「板谷一門」の棋士がいました。

関口指導棋士:
「福岡の地で、何か記録が達成される可能性があるというのは、それだけでも幸せですよね」


同じ一門出身として、ダブルタイトル獲得に期待を寄せる一方で…。

関口指導棋士:
「木村先生を応援しています。純粋にもっと見たい、七番勝負を。お二方が作る棋譜ってすごく綺麗だから、それがもっともっと増えるんだったら、見られたら幸せなので」 


見ているだけで幸せという2人の綺麗な棋譜。

 そして大詰めを迎えた対局は、午後5時過ぎ。

木村王位:
「参りました」

木村王位が投了し、藤井棋聖が見事、史上最年少での二冠を獲得しました。

藤井棋聖:
「今回、七番勝負でいろいろ良い経験ができたかと思うので、それを活かせるよう引き続き頑張っていきたい」