今年のお盆休みは、新型コロナウイルスの影響で帰省を控えたという方も多いのではないでしょうか。「お墓の手入れ」をどうしようかと考えた人も多いと思いますが、そんな問題を解決する、新しいお墓参りを取材しました。
 
■タブレットを通して先祖を偲ぶ…お墓参りの新しいカタチ

 三重県熊野市の墓地。墓石の前にタブレットを置いて「オンラインでのお墓参り」を、石材店を営む湊賢一郎さんが今年5月に始めました。

湊さん:
「今コロナ禍でオンラインのリモート的な動きっていうのが活発になってきて、こちらまでお墓参り来るのが大変だということで、オンラインでできないかなって思って」


LINEのビデオ通話を利用したこの「代行墓参り」、どんな風に行われるのか。熊野出身で今は福岡に住む依頼者が見守る中、ご先祖様に深く一礼。

湊さん:
「こういう北向きの影のところが汚れるんですわ。霊記も拭きます。見えるかな」

利用した女性:
「見えます」


お墓の知識などの話を交えながら、丁寧に墓石を水拭き。石材店ならではの気遣いです。

墓前に花を手向け、線香をあげて…。

湊さん:
「それじゃあ、お墓参りします」

依頼者も、湊さんに合わせ画面の向こうにあるお墓に向かい手を合わせます。

湊さん:
「これでお墓参り終了します。ありがとうございました」

利用した女性:
「ありがとうございました。」

Q.オンライン墓参りを利用した理由は?

利用した女性:
「なかなか普段から帰省はできないんですけど、コロナの影響で今年も帰省するのは難しそうですし。来年もまたどうなるのかなって不安もあったので。お墓の回りをぐるっと見せてもらったり、景色を見たりとか。何より自分では絶対あげられないお線香をあげてもらったのが感動しました」


 今年5月にサービスを開始して以来、大阪や遠くはハワイなどからも依頼があったといいますが、実は湊さんが、このサービスを始めたのにはコロナだけでなく、もう1つ理由がありました。「墓じまい」です。

墓を撤去し、遺骨を他の墓地に移す「墓じまい」。高齢化や地方から都市部への人口流出にともない、急速に進んでいて、地域によっては、墓石が捨てられるなど深刻な問題になっています。

 お墓を守り続けたい、そんな思いものせた「オンライン墓参り」。

湊さん:
「見ず知らずの僕がお墓参りするのは、ご先祖様に『誰だこいつ』って思われるんでしょうけど、このサービス利用してもらえましたら、移動距離もいりませんし、時間も使わないですし。僕も先祖さんへのお礼を込めてお墓参りさせてもらいます」


■挨拶する喪主の先にあるのはカメラ…葬儀もライブ配信で 

 一方、コロナの影響で葬儀のオンライン化も進んでいます、愛知県一宮市の葬儀場。

ライブ配信を利用した喪主の男性:
「母の葬儀にご会葬いただき、誠にありがとうございました。ライブ配信という形ではございますが、皆様の思いは母に届いていることと思います」


喪主の挨拶の先にあるのはカメラ。葬儀のライブ配信です。

愛知の葬儀会社「のいり」が始めたこのサービス。葬儀の様子を撮影し、YouTubeでライブ配信します。

オンライン葬儀の参加希望者には、アクセスに必要なURLが事前に送られる仕組みで、親族や友人などに限定して配信されるようになっています。

喪主の男性:
「私の母の実家は岐阜県の下呂で、本来はそちらでやろうかなって思っていたんですけど、やはりコロナの問題がありますので、それであれば一宮でやって、オンラインという形で皆さんにお見送りしていただければ良いかなと思いました」


下呂にいる親族はみな高齢ということで、感染リスクを減らすためオンライン葬儀にしました。

たった1度だけ、やり直しのきかない葬儀。サービスを始めた、愛知県の葬儀会社は。

葬儀会社の担当者:
「葬儀というのは、故人とのお別れが最も大事だと思っております。映像を見ていただくことによって、自分の心の整理をしていただけるかと思います。遠方の方ですと、やっぱり参加しにくいという状況は(今後も)変わらないと思いますので、少しでも参加できるように、何かもっともっと工夫ができればと思っております」

今回取材した「湊石材店」の「オンライン墓参り」は、基本料金3,300円に2,000円程度のお花代と交通費がかかります。タブレットを使ったオンラインサービスだけなく、作業前後の写真を後日郵送するのみのサービスもあります。

 

愛知県の葬儀会社「のいり」が行っている「オンライン葬儀」は葬儀料金のみで追加の料金はかかりません。参列者を呼びづらいという喪主側からの依頼が多いそうです。