秋の味覚、庶民の味といわれるサンマですが、今年も大不漁で高嶺の花となりそうです。その一方で、スーパーをのぞくと普段はなかなか手が出せない高級魚介類がお買い得に、一体なぜなのか取材しました。

 街なかで新鮮な魚が食べられると人気の居酒屋。この時期、人気の日替わりランチの定番はサンマの塩焼きですが…。

料理長:
「お出ししたいのですが、あまりにも高騰しすぎてお出しできない」


 通常なら旬を迎えるサンマが食べられない。その理由は、過去に例がないほどの不漁です。

 4日、名古屋中央卸売市場で行われたサンマの競りの様子。

今年のサンマは小ぶりで痩せたものが多いといいます。

それでも落札価格は2キロで4000円から1万円。1尾あたりで計算すると150円から1000円です。

サンマの競りの担当者:
「今日は240ケースぐらいです。多い時は3000-4000入りますから量としては非常に少ない状態です。(水揚げ量は)去年が過去最低の記録を出しているんですけど、このままいくと更新するかなと思います」


 近年、海水温の上昇が理由で不漁が続くサンマ。

 名古屋の大須にあるスーパーでも…。

(リポート)
「ありましたよサンマ。大きいもの1尾で780円!これはちょっと高いですね」

 こちらのスーパーは安さが自慢ですが、3年前なら1尾100円ほどで売られることもあるサンマが4日は税込みで843円に。

買い物客:
「買えません。主人がサンマ大好きなので、主人だけサンマをつけるとかありましたけど、そんなに高くては買えませんね」

別の買い物客:
「食べられません、年金生活には。旬のものはいただきたいなと思いますけど」


 庶民の味が、いつの間にか『高嶺の花』に。

 しかしサンマ高騰の一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた需要減などにより、逆に高級魚などの価格が低下。

 取材したスーパーでは、サザエ100グラムが税込みで106円!

普段なら店に並ばないアワビが100グラム430円で店頭に。

さらにタイに至っては『2尾で843円』と、サンマ1尾と同じ値段で販売されています。

スーパーの担当者:
「タイじゃないです。タイが大衆魚になっちゃいました。コロナの影響で飲食店の方が使われない、また外で外食される方が少ないということで、安くしないと売れないという感じで安くなっています」

 サンマについて、名古屋中央卸売市場によりますと、海水温が下がりはじめるこれから、漁獲量も徐々に増え値段も落ち付く見込みですが、もうしばらくは我慢が必要ということでした。