スーパーに押され、すっかり数が少なくなってしまった街の八百屋さん。しかし、名古屋に様々な工夫で大人気の青果店があります。

■新鮮でお値打ち ハズレがない…女性に人気の名古屋の青果店

 名古屋市名東区にある「八百屋の壮」。去年8月にオープンした人気の青果店です。

 この日は白ネギが1束100円、レタス1玉150円。お値打ちの野菜が並びます。さらに焼きそばやフルーツパフェを出す軽食スペースもあります。

女性客:
「お値打ちだと思います。今まで買って食べたものは全部おいしかったです。ハズレがない」

別の女性客:
「地元のスーパーだと決まったものしか無いけど、この店はパインだけでもハニーグロウとか、その時の旬な物が置いてあるので魅力的」

店主の平林壮章さん:
「高くても安くても絶対的においしいもの、値段よりも味を追求しています。あとは、楽しんでお買い回りしてもらったり。楽しくないと次に来てもらえないので、そういうところは大事にしています」

 トマトやきゅうりなど50種類以上の野菜に、りんごや桃など季節の果物が30種類ほど並びます。品数豊富で、どれも品質に自信があります。

 ただ、野菜の高騰で、こちらでも値上げをせざるを得ない状況が。それでも、毎日必ずタイムサービスを実施して、お値打ちのものを揃えます。

 例えばこの日はレタスが1玉150円に、ニラが2袋で100円。家計を預かる主婦にとっては嬉しい限りです。

平林さん
「例えばレタスは1か月~2か月ぐらい前は300円以上していました。その中でタイムサービスでと。来てみて楽しみがあるのがやはり良いのかな」

■イマイチだよと言われたものでも美味しい…客との本音トークも人気の秘密

 タイムサービスだけが人気の理由ではありません。

平林さん:
「コミュニケーションは大切にしたいなと思っています。実際に物を見て、どの様に使うのか、料理方法とか。煮ればよいのか、焼けばよいのか、相性の良い野菜は何かとか。話の中でお客さんが欲しい物とかこういう物入れてほしいというのが出てくるので」


 お客さんは毎日の献立について相談ができ、平林さんは会話の中から市場リサーチができ、より客の要望に応えています。時にはこんなアドバイスも。

平林さん:
「こっちのマスカットは、房は大きくて魅力的だけど、甘みが薄いかも。だからいつも食べているのに比べたら、言ってしまえばマズい」

女性客:
「信頼できますね。イマイチだよって言われた物でも他のスーパーで買うより確実においしいですから」

 商品の良し悪しまで伝えていました。これは人気が出るはずです。

■お好み焼きや焼きそば目当ての客も…両親の思いを継いだ店を大繁盛店に

 お昼時、平林さんは飲食コーナーでたこ焼きを焼いています。他にもお好み焼きや焼きそばが店頭に並んでいます。

平林さん:
「お昼時はこっちがめちゃくちゃ忙しいんで、手伝いに回るんです」


 たこ焼きを焼く手つきは鮮やか、とても青果店の片手間でやっているとは思えません。実は平林さん、元々、たこ焼き店を経営していました。

平林さん:
「ここから南の方に500メートルの所にホームセンターがあったんです。その中で、たこ焼き店をやっていました。ホームセンターの改装の時に、敷地の横が空いたので、青果店を始めたのがキッカケです」

 青果店は父親が、お好み焼きや焼きそばは母親と姉が店をやっていた事もありこの店を始めました。つまり両親の仕事を受け継いだお店なのです。

■SNSでバズって大人気に…ごろっと大きな果物が入ったフルーツサンド

 数々の人気の理由がありましたが、この店を超人気店に押し上げた大きなワケは他にありました。

女性客:
「フルーツサンド。大量買いしました」

男性客:
「岡崎から来ました。1時間ぐらいかかりましたね。すんなり買えたので、嬉しかったです」

別の男性客:
「スッキリした甘さで食べやすいです」

 今流行りのごろっと大きな果物が入ったフルーツサンド。いちごにブドウにみかんなど20種類が揃います。特注のパンを使い、クリームにもこだわり、甘すぎない大人から子供まで大好きな味に仕上げました。

平林さん:
「“超目玉”を何か作りたくて。その時にフルーツサンドを始めたんですけど、その後SNSやインスタグラムに載せたら、若い子をはじめ幅広い年齢層の方が見に来たり、買いに来たりしてくれているので、飛ぶように売れています」

 写真をSNSへ上げたところ、若者たちの間で話題となり、気が付けばフルーツサンド目当てに若い人たちが多くやってくるように。超人気店になっていました。

 今ではお値打ちな野菜やフルーツもSNSにアップ。それを目当てにやってくる人も増えたといいます。

女性客:
「インスタグラム、ストーリーを毎日チェックして、今日はこれがある、みたいな感じで来ます」

別の女性客:
「ストーリーが毎日上がるので、それを見て安いから買いに行こうって感じです」

平林さん:
「八百屋だけでは無理だと思います。フルーツサンドとか、焼きそばやお好み焼きとかがあるからこそ、そうやって来てくれると思うんで。何がキッカケでもそれは良いと思うんです。お客さんの目を引いて、かつ食べて美味しくて、口コミも広がってっていう。それで今の形になったのかなと思います」


 他にも旬のフルーツをふんだんに載せたパフェや、メロンやパイナップルを贅沢につかったスイーツも揃え、SNSを上手く使って集客しています。

 また、大量に安く仕入れることができた時に、200円でやっているバナナの詰め放題も人気。

最初はビニール袋内に詰められる分だけという形でスタートしましたが、今では袋からはみ出していても、抱えてレジまで運んで来られればOKにしました。

平林さん:
「お客様が喜んで楽しんでお買い物してくれるとか、そういうことを常に思いながら、これからも仕事していきたいなと思ってます」

 エンターテインメントにも富んだ「八百屋の壮」は、名古屋高速「高針」出入口の近くです。