今、新型コロナの影響で苦しんでいるお店が、様々な新しいサービスを始め奮闘しています。店内の混雑を緩和するアイデア商法から、今はやりの御朱印に倣ったものまで。コロナ禍でも知恵を絞って頑張っているお店を取材しました。

■来店の回数をなるべく少なくしたい…客の要望を汲み取った家具店の新サービス

 岐阜県岐南町にある家具店「プラスリビング」。

 少しだけキズが付いたものなど、いわゆる「アウトレット品」を販売。新品が9割引きのものもあり、大人気のお店です。

 しかし、コロナの影響で客が密を恐れて来店を控えるようになり、売上は2割~3割減ったといいます。そこで8月から始めた新サービスが「NO密パス」です。

 開店30分前に入店できるパスで、発行されるのは最大1日3組のため、7階建ての広い店内をほぼ独占しながら商品を見たり購入したりできます。パスはお店に申請するとメールで送付されます。

週末はたくさんの客で溢れかえるため、店長は、「開店前の30分ではあるものの、安心してお買い物をしていただければ」と話します。

 さらに、ビデオ通話アプリ「Zoom」を使ったリモートによる接客も始めました。

店はスマホの画面を通して商品の説明をし、客は店に出向かずに、欲しい家具のチラシでは確かめられない細かい部分までチェックすることができます。

 来店する回数をなるべく少なくしたいという客の声があり、このサービスを始めました。お客さんからも「時間の短縮になるので助かる」と好評です。

店長は、「来店前にZoomで大体の感じは伝わると思うので有効」だと話します。

 NO密パスに、ビデオ通話システムでの商品紹介と、知恵を絞って新型コロナに対抗しています。

■本屋さんへ行く楽しさを再び… 書店と人を結ぶ「御書印」

 名古屋駅の近鉄パッセにある「星野書店」。名駅という場所柄、特に休日の来店客が減るなど、新型コロナの影響を受けています。

そこで、少しでも書店に来る機会を作ってほしいと、今年3月に始めたサービスが御朱印ならぬ、「御書印」です。

 無料でもらえる御書印帳に、その書店をイメージした3つのオリジナルスタンプが捺印され、さらに筆ペンで書店が選んだ本の一節を書き添えてもらえます。

こちらの書店では、国民的漫画「ドラえもん」から「いっしょうけんめい、のんびりしよう」と書いてもらいました。

 「御書印」は、出版社の小学館が「書店を元気づけ、利益にもつながり、お客さんにも喜んでもらおう」と始めました。全国137店舗が参加しており、東海地方では愛知県内で5店舗、三重県内で4店舗で実施されています。

 名古屋市瑞穂区の「七五書店」にも御書印がありました。

オリジナル印はお店の外観、そして、メッセージはお店のある瑞穂区在住の歌人が店名の「七五書店」を入れて詠んだ歌でした。

 SNSでは、本好きの人たちが各店舗の御書印を投稿。密かなブームになっています。

男性客:
「初めて知りました。御朱印とか御城印とか集めているので、色々な所を歩いて自分の好きな本屋さんを見つけるのは面白い」

女性客:
「本屋さんで本を買う人も少なくなっている時に、少しでも活性化につながれば良い」

 御朱印からヒントを得た、ユニークな新サービス。書店に足を運ぶきっかけになるかもしれません。

■「鉄印」に「墳印」まで…今ひそかなブーム 大人のスタンプラリー


 出版業界以外でも御朱印に倣ったものが続々登場しています。鉄道会社が今年7月に始めたのが「鉄印」です。

全国40の鉄道で鉄印帳に鉄道の名前やロゴが書かれた「鉄印」を押してくれるサービスで、東海地方でも愛知環状鉄道や長良川鉄道など、5つの鉄道が参加しています。早くも全駅制覇した人もいます。

そして愛知県内の3つの古墳の事務所が始めたのが「御墳印」です。古墳を巡る楽しさを多くの人に知ってほしいと、9月2日からスタートしました。断夫山古墳(名古屋・熱田区)、青塚古墳(犬山市)、白鳥塚古墳(名古屋・守山区)3つを制覇した先着50人にプレゼントもあり、現在36人の方が制覇しています(9月22日時点)。

■「御書印」参加書店
【愛知県】
・正文館書店本店(東区)          
・七五書店(瑞穂区)
・星野書店近鉄パッセ店(名古屋駅)
・豊川堂本店(豊川市)
・TSUTAYAウイングタウン岡崎店(岡崎市)

【三重県】
・別所書店津駅店(津市)
・別所書店修成店(津市)
・WAY書店TSUTAYA久居店(津市)
・トンガ坂文庫(尾鷲市)