新型コロナの影響で百貨店やショッピングセンターなど大型商業施設が休業する中、ホームセンターは休業要請から外れ、業界全体で売上を伸ばしています。ニーズはどこにあるのか、取材しました。

■ペット飼育に家庭菜園…ステイホームで広がる趣味

 名古屋市南区にあるホームセンター「スーパービバホーム名古屋南店」。

 約1万3000平方メートルの広い売り場には、日曜大工に必要な資材や観葉植物、今欠かせない消毒用品など、11万種類以上の商品が揃います。

 コロナが流行する中、客足が伸び、週末には1日およそ3000人が訪れます。開店と同時に、資材コーナーには熱心に木材を見る男性が…。

営業職の男性(40代):
「天井裏に上って断熱材を増やすためにその足場用にDIYで。前は子供をどこかに連れて行かないと、というのがありましたけど、今はコロナにかこつけてステイホームで。仕事を忘れて自分の世界に入れます」

 夫婦で来店した人は…。

夫婦で来店した女性(40代):
「このへんが秋野菜だと思うんですけど、コロナで出かける機会も減ってきたのでちょこちょこやるように」


 去年、自宅の花壇で家庭菜園を始めたというご夫婦。秋野菜の苗を探しに来ました。

同・男性(40代):
「キャベツとブロッコリーです。今までミニトマトとスイカとオクラくらい。育つと楽しいし、おいしいです」

 自宅で家庭菜園を始めたという人も多いようです。

 ペットコーナーには…。

子供連れの女性(30代):
「旅行とかも行けなくなって、家にいること多くなったじゃないですか。出られないからお家でワンちゃんと遊びたい人が多いって聞くので」

 8月だけで20匹近くの犬が売れました。ステイホームでペットも人気です。

■増える自然災害…東日本大震災で高まった防災への意識

 昼時、防災用品売り場で、スプレー缶を手に取る2人。

女性:
「最近水害もあるので。ご飯とトイレと缶詰と、生水をきれいにできるものと、スマホの充電が難しいのでソーラーパネルを。2次持ち出し用のリュックと1次持ち出し用を用意しています」

 東日本大震災の時に関東にいて、帰宅難民になったり、地震で水が止まったり、電気が止まったりして、防災用品を持ってないとダメだと感じたといいます。

 2011年3月11日の東日本大震災。首都圏では交通機関が停止し、多くの人が帰宅困難者となりました。

 この経験を教訓に、定期的に防災用品の確認をしています。今は台風シーズン、日頃の備えが大切です。

■客が1割程に減…いまホテルにできること

 親子で買い物に来たという2人。

母親(65):
「コルクボードがもう一つ欲しくて」

娘(30):
「ホテル業です。家族でやっているホテルなんですけど」

 名古屋市南区にある創業およそ80年の「和のホテル新月」。濱嶋さん(30)は4代目。去年10月、父親の後を継ぎました。

 しかし、コロナの影響で客数は1割ほどに減少。経営を立て直すため、休む暇はありません。

 お客さまの声を聞きながら、喜んでもらえるようにお応えしていきたいといいます。

 買ったコルクボードは、ホテル周辺の飲食店情報の掲示板として使われていました。

 宿泊客一人一人のために、できるこをコツコツとやっています。

■「独立」「結婚」「趣味」…ホームセンターでそれぞれが描く未来

 更に客が増えてきた夕方のホームセンター。独立した造園会社の経営者の男性が、事務所で使うカーペットを買いにやってきました。

造園会社の経営者(26):
「コンテナハウスに敷き詰めるような作業なんですけど」

 独立し、コンテナの事務所で新たな出発です。

同経営者:
「やりがいしかないですけど、毎日が戦いですね。今いる社員含め全員で、だんだん大きくなれたらなと思います」

 資材売り場では、何やら2人で相談している人が…。

機械設計(40代):
「今度結婚するので、家具とか家電を買いました。それを固定するのに工夫したいなと思って。(彼女に)子供がいまして、机を作ったり、工作したりとかしています」


新たに家族になる息子に机を作りプレゼントしました。

 日が暮れても、客足は途絶えません。キャンプ用品を見に来た男性が…。

事務職の男性(41):
「使っていた机がだいぶ古くなったので新しいのが欲しいなと。(キャンプは)多い時は5、6人で行ったりとか。1人で行く事もあります」

 一人でキャンプを楽しむ“ソロ”キャンプ。20年来の趣味だそうです。

同男性:
「自然の中で自分一人でリラックスできる、普段のストレスとか発散できますし。焚火見ながらのんびり本読んでとか。きれいな星空見ながら一人で静かに酒飲んだりとか」

 4月以降、キャンプには行けず、専ら今の楽しみは、道具選びです。

同男性:
「(周りのキャンプが)好きな人間は自粛していますね。ベランダでちょっとやるとか。ストーブに缶詰のせて火であぶって晩酌するとか。そんなことしか今はできないです」

 自宅でキャンプ気分。試行錯誤の毎日です。

 午後8時、閉店。

 様々な人が様々な目的でやって来るホームセンター。コロナの影響で先の見えない中、新たな楽しみ方を見つけようとする人々の姿がありました。