愛知県瀬戸市の藤井聡太二冠に立ちはだかる大きな壁。一宮市出身の豊島将之竜王(30)です。これまで公式戦で0勝5敗と歯が立ちません。

 5日、王将戦のタイトル挑戦者を決める「王将リーグ」で、この2人が対局。豊島竜王は藤井二冠にとっては強敵ですが、独身であどけない表情から、将棋ファンには「きゅん」と呼ばれる愛されキャラクターです。

 スーツ姿で現れた瀬戸市出身の高校生プロ棋士・藤井聡太二冠(18)。対戦相手は一宮市出身の豊島将之竜王、30歳。

 豊島竜王の先手で始まり、藤井二冠はいつも通りお茶を飲んで初手を指しました。

 通算の勝率が8割超える藤井二冠ですが、これまで豊島竜王に対しては5連敗。

 9月のリーグ初戦では羽生善治九段(50)に敗れ、リーグ戦早くも崖っぷちに立たされた瀬戸の星、藤井二冠。

一宮市出身の豊島竜王の壁を乗り越えることができるのでしょうか…。

 10月2日、昨年度最も活躍した関西所属の囲碁と将棋の棋士の表彰式がありました。その棋士こそ、豊島竜王。9月、叡王のタイトルも獲得し、二冠に返り咲きました。

 同郷の藤井二冠について尋ねられると…。

豊島竜王:
「藤井二冠との対局はとても注目されるので、自分の力を出し切って良い内容にしたいと思っています」


 これまで竜王、名人などタイトル通算5期の豊島竜王ですが、将棋の強さとはうらはらに、どこかあどけない表情が印象的。そこでついた愛称が…「きゅん」。

ファン:
「『きゅん』です。かわいくてキュンキュンするので、『きゅん』とみんなで呼んでいます」


 豊島竜王は1990年一宮市で生まれ、5歳で大阪に転居し、高校2年でプロに。

2018年、28歳で初タイトルの棋聖を獲得しました。

 実は、豊島竜王。6年前、藤井二冠が修行時代の小学生の時、師匠の杉本昌隆八段の計らいで手合わせをしたことがあります。

豊島竜王(当時七段):
「小学6年生でこれだけ指せたら、自分の時と比べても圧倒的に強い」

藤井二冠(当時12歳):
「せっかく豊島先生に指していただけるので、自分の力を出し切りたいと思いました」

 結果は、豊島竜王の勝利。そして藤井二冠がデビューして1年も経たないうちに、公式戦で初対決。ここも当時A級棋士の豊島竜王に軍配。

藤井二冠(当時四段・15歳):
「やはり実力の差というか、A級の壁の高さを改めて感じました」


 しかし、全く歯が立たないわけでもなく、2018年に藤井二冠が新人王戦で優勝した際、豊島竜王はタイトルホルダーとして記念対局で胸を貸すことに。

この対局は藤井二冠が勝利したものの、あくまで「非公式戦」。

 そんな藤井二冠の出現に豊島竜王は当時、「彼が5年後か10年か分からないが一番強くなるであろう時に、自分も戦えるようにしたいと思っていて、自分は長く活躍したいという気持ちは少なかったが、彼がいるので戦ってみたい」と、年下のライバル出現を楽しんでいるかのようでした。

 2019年は公式戦で三度対局するも、いずれも豊島竜王の勝利。そして9月の対局でも豊島竜王が勝利し、公式戦負けなしの5連勝。

豊島竜王(10月2日):
「たまたま自分の方にツキがあったというか、そういう将棋がここ最近続いているのかなと思っています」


 通算勝率8割超えの藤井二冠に、唯一手を焼かせています。

 そして5日の対局。将棋界トップを目指す愛知県出身の棋士同士の戦いの行方はいかに…。